透析部門

CKDチーム座談会

CKD(慢性腎臓病)の進行を予防するとともに、患者さんの人生に責任をもってサポートします。

当院が提供する腎臓病治療は、患者さんの人生を主軸に考えています。
医師、看護師のみならず、各職種による多角的な視点を治療に反映させることが、
患者さんのよりよい治療につながるとの思いで、CKDチームが発足しました。
このページがCKD(慢性腎臓病)で悩む一人でも多くの方にお役立ちできれば幸いです。

チーム紹介

管理栄養士
Oさん
理学療法士
Iさん
腎臓リハビリテーション
指導士
薬剤師
Nさん
臨床工学技士
Nさん
准看護師
Nさん
看護師
Hさん
腎臓病療養指導士
看護師
Wさん
腎臓病療養指導士
01

それぞれの役割と患者さんとの関わり方を教えてください

Hさん

私は主にCKD外来に携わっています。患者さんは、健康診断で尿タンパクが陽性であったり、採血で腎臓機能の異常が指摘された際に、再検査で腎臓内科専門医を受診されることが多いです。患者さんには腎臓がどんな臓器なのか、CKDの症状や段階についてきちんと説明をしています。

Wさん

私も主にCKD外来で看護を行っています。腎臓は「沈黙の臓器」と言われており、病気が進行しないと症状があらわれない臓器なので、早期発見、早期治療が大事だと思っています。CKDの治療には、検査データだけではなく、患者さんの生活背景や大切にしていること、病気に対する考えを知ることが重要だと考え、コミュニケーションを通して信頼関係を築けるように心掛けています。

Hさん
Wさん

CKD外来では、生活指導や食事療法、運動療法、薬物療法など生活習慣を整えることが重要となりますので、CKDチームの各職種に対応してもらっています。

Oさん

CKDの食事療法は一度で終わるものでないので、何度か来院して頂いてお話を聞かしてもらう中で継続的な栄養指導をしています。特に栄養指導は、「あれも、これも、食べたらいけない」と言われるのではないかと、マイナスのイメージで来院される患者さんが多いです。そうではなく、ここを工夫すれば好きなモノを食べられるということを提案するようにしています。

Iさん

CKDの患者さんは筋力・筋肉量・持久力の身体機能が低下傾向にあり、日常生活に支障をきたしやすい状態にあります。それを改善することで豊かな生活を送れる可能性があります。早い段階から患者さんに過度な負担のない運動療法などの指導・提案をしています。

Nさん

薬に対する安心感を与えられるアドバイスが出来たら良いなと思って、日々患者さんに向き合っています。
特に几帳面な患者さんは、毎日きっちり薬を飲まなければいけない、と思われている方が多いです。その様な薬をきっちり飲まなくてはとの考え方が、逆に患者さんにストレスとなってしまっている事があります。そうではなくむしろ薬剤師として培った経験を基に日々の薬の管理が負担にならない方法や、飲み忘れた時にはどうしたらよいのかなどのいろいろな知識の引き出しを持って、患者さんに対応しています。薬に対する心的不安を少しでもやわらげる説明ができるように心がけています。

Nさん

私は血液透析を導入された患者さんの看護をしています。
導入された患者さんには、実際に血液透析が始まってから直面する疑問や、今後のより細かな経過、例えばどのような症状が出ることがあるのか、などを説明しています。患者さんの日常生活に支障がでない透析を常に意識しています。患者さんのその日の栄養状態や運動機能の情報をCKDチームで共有して、治療に役立てています。

Nさん

療法選択で血液透析を選択された患者さんに対して、血液透析時に必要となる血液の出入り口であるバスキュラーアクセスを、医師と相談しながらどのようなものが患者さんにあっているか検討していきます。またバスキュラーアクセスは血液透析を行う患者さんには、必要不可欠のものであり、命綱となるため、血液透析導入後のバスキュラーアクセスの評価もさせてもらっています。

02

保存期の患者さんとはどのように関わっていますか?

Oさん

保存期の患者さんには、塩分制限、たんぱく質の適量摂取、エネルギー確保についての指導をしています。初期から極端に制限をするのではなく、まずは患者さんが継続できるような指導を心がけています。

Nさん

やはり薬に関して患者さんの負担にならないように、と考えています。薬をたくさん飲むと体に悪いのでは、と心配される方もいらっしゃいますが、薬を1つ増やすだけでQOL(生活の質)が向上するのであれば、毎日薬を飲んでもいいと思います。保存期とは関係ありませんが、いまだに睡眠薬は習慣性が強く悪い薬だと考えていらっしゃる方がおられます。しかし1錠で安眠を得ることができて、一日を楽しくすごせる方が、人として健康的ではないかと言うのが私の考えです。

Iさん

保存期の段階から患者さんの身体機能は低下しているので、まずは身体機能をキープできるよう指導しています。運動をすることで、身体機能の改善はもちろん、生命予後や腎機能の改善に繋がる可能性もあるので、保存期から積極的に介入させて頂いています。

Wさん

CKD外来の初診患者さんは、「すぐに透析が必要と言われるのかな。」「運動は、腎臓によくないのかな。」「仕事は続けられるだろうか。」など、不安や疑問を抱えている方が、多くいらしゃいます。まず、お話を伺いながら一つひとつ丁寧に説明していき、チームにも情報共有していきます。少しずつ腎臓病について理解を深めていただき、患者さんやご家族が前向きに治療に取り組めるように支援しています。また保存期ではCKDチームで介入することで、残されている腎臓の機能を守り、透析導入を遅らせる支援を目指しています。

03

導入期の患者さんとはどのように関わっていますか?

Wさん

透析や移植の準備が必要な患者さんに、早めに心の準備ができるように、CKD外来で療法選択のお話しをしています。状態が急に悪化して緊急透析にならないように、まずは現在の病状を理解してもらって、なぜ透析が必要なのかということを説明します。患者さんの価値観や生活スタイルに合った、一番納得がいくような治療をCKDチームで共有しながら一緒に考えていきます。

Hさん

日本では透析患者さんの約90%以上が血液透析ですが、当院で透析導入される約40%の患者さんは腹膜透析を選択されています。“森下記念病院では、腹膜透析も選択できる”ということをまずは伝えていきたいです。また当院では、血液透析と腹膜透析のハイブリット療法も患者さんの状況に合わせて行っています。患者さんが納得して、安心して治療できるようにアドバイスしています。

Iさん

高齢CKD患者さんの歩行や立ち上がり動作、着替えなどの日常生活動作能力は、透析導入のタイミングで大きく低下し、その後も低下していくことが報告されています。リハビリテーションとしては、身体機能や日常生活動作能力を保てるよう運動指導・運動療法を実施させて頂いています。

Nさん

技士としては、血液透析を選択された患者さんの、バスキュラーアクセスをどのように選択するか、というところで関わってきます。
まずは血管の評価、そして心臓の評価をして、どのようなバスキュラーアクセスがこの患者さんには合っているか、ということを医師と一緒に考えています。

Nさん

バスキュラーアクセスでは、患者さんが自分の血管を大切にするために、気を付けないといけないポイントがたくさんあります。患者さんが病院にいない間も、自分で自分の血管を守れるようにフォローをしています。森下記念病院にはバーキュラーアクセスチームもあるので、異常にはすぐに対応できるメリットがあります。

04

導入後の患者さんとはどのように関わっていますか?

Iさん

リハビリテーションの内容としては、導入後も、保存期や導入期と大きく変わりません。
身体機能の維持・改善を目的に、日常生活での活動量を増やし、運動習慣をつけて頂けるよう運動指導・運動療法を行っています。
基本的には、自宅で実施できるようなセルフトレーニングの指導を行っておりますが、自宅で行えない場合は、透析中の時間を利用し、ベッド上でのサイクリング運動やゴムバンドを用いた筋力トレーニングといった運動療法を実施しています。

Nさん

透析患者さんは様々な合併症により、日常生活に影響が出てきてしまうケースがあります。そういった時は透析メニューを検討したり、CKDチームで相談したりして、患者さん自身がより良い人生を送れるようにフォローすることが役割だと思っています。透析患者さんと透析スタッフのお付き合いはとても長いものになるので、患者さんの声を一つひとつ受け止め、治療につなげていき信頼関係を築くことが一番大切だと感じています。

Nさん

患者さんの血液データや透析状況から、患者さんにあった透析が提供できるように考えることが、役割だと思っています。また、森下記念病院では患者さんの血管に針刺しをするのは、臨床工学技士が担当しており、患者さんに安心して任せてもらえるよう良好な関係を築けるように仕事をしています。

Hさん

腹膜透析治療は外来で行っています。患者さんの中には働き盛りの年代の方もいらっしゃいますので、今の生活を中心として、その中でどう治療をしていくのか、ということを患者さんと一緒に考えています。腎移植に関しては、近隣の大学から腎移植外来の先生が定期的に来てくださいます。療法選択で腎移植に興味がある、という患者さんには、腎移植外来の先生にもつなげることも出来ます。

Wさん

森下記念病院では血液透析、腹膜透析を併用するハイブリット療法を行うことができます。腹膜透析だけでは、水分、毒素が十分に除去することができない場合に、週5-6回の腹膜透析とは別に週1回血液透析を行う療法です。腹膜透析をお休みすることで、腹膜を保護できることが大きなメリットです。血液透析との併用療法に移行しても、患者さんがなるべく生活リズムを崩さず、仕事を続けていけるように、私たちはサポートしています。外来での患者さんの内服状況や体重変動、お腹の状態等、小さな情報でも血液透析室の看護師や臨床工学技士に伝え、継続した看護に繋げています。

05

これから森下記念病院に、受診を考えている患者さんとご家族へ一言

Oさん

CKDの食事療法については、本やインターネット等で色々と情報を得ることはできますが、CKDと診断された患者さん一人ひとり、年齢、性別、家族構成、仕事内容、既往歴の有無、特に食習慣は皆さん違います。管理栄養士は食事療法の必要性を理解して頂き、患者さんの食事内容、嗜好を聴きながら継続可能な改善点やイベント時のお食事の楽しみ方など個々に合わせたオーダーメイドの栄養指導を心がけています。お食事に悩んでいることがありましたら、お気軽に栄養指導を受けにいらしてください。

Wさん

現在8人に1人は、CKDと言われており、生活習慣病や高齢化を背景に増加していますので、腎臓で気になることがあれば、まずは腎臓内科の受診をお勧めします。森下記念病院ではCKDチームが一丸となって腎臓を守るサポートをしていきます。患者さん、ご家族一人ひとりの生活を大切に考え患者さんに寄り添って共に歩む看護を提供したいと考えています。受診の際は、些細な事でも私達に声をかけてください。

Hさん

私たちは保存期から導入後のケアまで、多職種がチームとして患者さんのサポートをさせて頂きます。どんな些細な事でも、気になることや気になる症状があれば、気軽に受診して頂ければと思います。また、療法選択に立ち会わせて頂く際は、「患者さんの今後の人生に関わる重要な場面」という責任をもって、お話しさせて頂きます。治療を優先と考えるのではなく、患者さんの趣味や生活背景を大切にした治療を一緒に考えていきたいと思いながら、日々、看護しています。「この治療を選んでよかった」と思えるような最良の治療方法を一緒に考えていきましょう。

Iさん

CKD治療では、早期からの治療により、腎機能を落とさないようにするのが重要です。今後の豊かな生活のために、腎臓リハビリテーション指導士の資格を持った理学療法士が、患者さん一人ひとり状況に合わせた運動療法で治療をサポートさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

Nさん

腎臓疾患になると、内服薬が増えていきます。その薬を毎日、朝・昼・夕と飲み続けることは大変な労力を注がなければなりません。毎日、薬を服用する中で副作用は大丈夫かとか、飲み忘れてしまったときに体調が悪くならないかなど不安に思うことがあると思います。薬剤師という立場と経験から薬を服用することに対するストレスや、副作用などの不安を軽減するようサポートいたします。

Nさん

透析を行うことで体調や日常生活に大きな変化を感じ、一人では抱えきれない不安や悩みが出てくるかと思います。そんな時はどんなことでもよいので、気軽に声をかけてください。一緒にいろんなことを話し合いましょう。透析とともに歩まれる新しい人生を全力で応援させて頂きます。

Nさん

日々の観察や患者さんとのコミュニケーションなどを通じて、患者さんが安全な透析を行えるように勤めています。また、森下記念病院にはバスキュラーアクセスのエコーを行える臨床工学技士が多数在籍しているため、いつでもトラブルに対応することができます。安心して森下記念病院へお越しください。より良い透析ライフを送るため全力でサポートさせて頂きます。