腎不全の治療について

CKDステージ5

CKD(慢性腎臓病)ステージ5は、腎機能が著しく低下した末期腎不全の状態であり、透析もしくは腎移植など「腎代替療法(RRT)」が必要になる可能性が極めて高い段階です。

CKDステージ5とは?

ステージ eGFR(mL/min/1.73㎡) 腎機能分類 説明
ステージ5 15未満 末期腎不全 腎機能が著しく低下しており、透析や移植が必要になる状態

eGFRとは、腎臓が老廃物をどれだけろ過できるかを示す指標です(正常値は90以上)。

主な症状・身体への影響

腎機能が10~15%未満にまで落ち込むと、体に老廃物や水分、電解質が溜まり、多くの症状が現れます。

  • 高度の倦怠感・息切れ・むくみ
  • 貧血(腎性貧血)
  • 食欲不振、吐き気、体重減少
  • 高カリウム血症(不整脈の原因)
  • 骨代謝異常、皮膚のかゆみ
  • 意識障害(尿毒症が進行した場合)

この段階での対応:腎代替療法の開始

腎代替療法(Renal Replacement Therapy:RRT)の選択肢

  1. 血液透析(HD)
    • 週3回、医療施設で血液を浄化
  2. 腹膜透析(PD)
    • 自宅でできる透析(1日数回、ご自身もしくはご家族で行う)
  3. 腎移植
    • 生体間移植:親族など健康な人から提供される腎臓を移植する方法
    • 献腎移植:脳死または心停止後の提供者から腎臓を移植する方法

ステージ5になっても「ただちに透析が必要」とは限らず、症状や血液データ(カリウム、クレアチニン、尿毒素など)を総合的に見て判断されます。

生活と治療のポイント

項目 管理内容の例
食事療法 タンパク質・カリウム・リンの厳格な制限が必要(管理栄養士の指導が重要)
体調管理 体重の変化、むくみ、血圧を毎日チェック
定期通院 腎臓内科医のもとで、透析導入のタイミングを慎重に見極める
精神的サポート 透析開始に不安を抱える患者さんへの説明と支援も不可欠

まとめ:CKDステージ5は「選択と決断」のステージ

内容 説明
腎機能レベル eGFR 15未満
主な対応 腎代替療法(透析 or 移植)の開始検討・準備
医療機関の役割 透析導入教育、選択肢の説明、合併症管理
患者さんの役割 自分の生活スタイルや希望に応じた治療選択