腎不全の治療について

腎不全のケア

ご家族がCKDと診断された時のために

家族がCKDと言われたら、その原因と、どの段階まで進んでいるのかを主治医に聞きましょう。CKDは原因や進行度合いによって、気を付けることが異なります。日常生活での制限、食事での注意、処方された薬の内容など基本的なポイントを把握することが大切です。
ここではご家族がCKDと診断された時の対応についてご説明します。

何に気を付けたらいいの?

⇒看護師や栄養士に直接会って、話を聞くのが一番です

やはり専門家のアドバイスを聞くのがいいでしょう。ご自宅で患者さん以外が食事を作る場合には、直接栄養士と会ってどんな食事を作ればいいのか具体的に聞いたり、看護師に生活面で気を付けることなどを聞くと参考になります。特に家族に若い人がいると若い人の好みに合わせ、どうしても塩分や脂質が多い食事になりがちですので、患者さんのためだけに別の食事を作るのは大変ですし、負担に感じるかもしれません。その場合は腎臓病の人のための宅配弁当や通販などもありますので、うまく利用しましょう。
薬は数が多いので、管理するのも大変です。中には飲みにくい薬もありますし、高齢者の中には薬を飲み忘れたり、間違えて2度服用してしまったりすることもよくあります。1日または1回に服用する薬をケースに分けるなどの工夫をするといいでしょう。

CKDと診断されたら、どうすればいいの?

⇒慢性腎不全なら進行を進めないためのサポートが必要です

急性腎不全は治療によって、腎機能が改善する可能性があります。行動制限や食事の指示があればきちんと守り、その治療経過を見守りましょう。
慢性腎不全の場合は、進行してしまうと失われた機能を改善することは難しいので、進行を進めないことが治療の中心になります。処方された薬の管理、生活習慣や食事の制限をしっかり守ることが大切です。

透析が必要になったら、どうすればいいの?

⇒計画的に準備を進め、余裕を持って透析療法に臨みましょう

透析に入ることが確実である患者さんに対しては計画的に準備を進め、スムーズに透析療法を始められるための準備が必要です。
ご家族に求められるのは、CKD や透析療法についての十分な知識を得ることです。医療機関スタッフ(医師、看護師、栄養士、ソーシャルワーカーなど)から話を聞いて、CKDとは何か、透析に必要な準備、透析開始前後で生活や食事がどのように変わるのかといったことを予め理解しておくことが必要です。日本では透析といえば血液透析が主流ですが、週3回、1回4時間の通院となると患者さんはもちろん、送迎するご家族の生活にも影響があります。一方で、腹膜透析は患者さんやご家族が正しいやり方を習得すれば、自宅や職場でも行えるため、生活リズムをそれほど変えずに行うことができる治療となります。
そしてもう一つ大切なのは、あらかじめ行っておく必要がある透析で使用するシャントや管の埋め込みの手術です。シャントは作成してもすぐには使用できず、手術から2~4週ほどかかって血管穿刺を繰り返してもつぶれない丈夫なものになります。そのため透析を開始する約1ヶ月くらい前に計画的にシャント作成術を行います。このようにかなり前から時間に余裕を持って準備することが欠かせないのです。
こうした事前の準備は患者さんご本人が今後、より良い人生を送るための大切な作業です。慢性腎臓病のチームスタッフと一緒に、しっかりと準備をして納得いく治療を選びましょう。

治療費が心配。負担を軽くする制度はある?

⇒医療費助成制度もあるので、お住いの市町村の窓口に相談してみましょう

腎臓疾患は定期通院が必要なので、薬の量も多く高額になります。患者さんやご家族にとって医療費の負担は、心配が尽きないことだと思います。こうした患者さんやご家族の金銭的な負担を取り除くため、自治体では住民が利用できる制度を設けています。
例えば腎臓機能障害、障害者医療費助成制度などは、所得税や住民税が控除されたり、通院の際に使ったタクシー代などの費用を軽減したりする措置を設けているケースもあります。透析をしている場合、高額医療費の特例として保険給付されることもあります。制度は都道府県によって内容や対象も異なりますし、そろえる書類なども違います。上手に制度を利用し、安心して治療を続けるためにも病院のソーシャルワーカーや行政の窓口で一度、相談してみるといいでしょう。

治療をしても症状が悪くなった。どうすればいい?

⇒理由が分からない時は主治医に相談しましょう

指示された通りに食事や生活を守っても腎機能が悪化することがあります。そのため定期通院は必ず指示された通りに行い、腎機能の経過をみる必要があります。腎臓の状態によって服用していた薬が禁止されたり、指示されていた食事内容が変わったりすることもあります。これは腎臓の状態によってやむを得ないことですが、その理由がわからなければきちんと医師に説明してもらい、納得して治療を続けましょう。