腹膜透析について
腹膜透析(PD)の特徴
腹膜透析(PD:Peritoneal Dialysisの略称)は、お腹の中に透析液を入れ、腹膜を使って体内の老廃物や水分を除去する優しい透析療法です。この方法は自宅でも行えるため、患者様の生活スタイルに合わせて通院が最小限で済むのが大きな魅力です。
具体的には、1日に約1.5~2リットルの透析液を使用し、バッグ交換という手法で1日4回程度透析を行います。透析は24時間にわたって行われるため、血圧の変動が少ないのも特徴の一つです。さらに、痛みを伴うことが少ないため、ストレスなく治療を続けることができます。
また、毎月の通院のみで管理を行なうため、患者様の時間を有効に使えるのも重要な要素です。このような特徴から、腹膜透析は血液透析と比べても残された腎機能を保護するメリットがあり、透析療法の延長として保存期腎不全治療とも関連付けられます。私たちのクリニックでは、腹膜透析からのスタートを推奨しており、「PD(腹膜透析)ファースト」というアプローチを取っています。
この治療法は、患者様がより自立した生活を送りながら健康を維持する手助けをするものです。更にご不明点がありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。


腹膜透析(PD)の長所・短所
腹膜透析(PD)は腎不全患者に対する治療法の一つです。この治療法には、様々な利点と欠点が存在します。以下にそれぞれの特徴を整理してみます。
腹膜透析の長所
- 身体への負担が少ない: 治療が優しいため、心臓や体にかかるストレスが少ないです。
- バスキュラーアクセスの必要がない: 血液透析に比べ、シャントやグラフトが不要で、穿刺も不要です。
- 柔軟な時間管理: 自宅や職場で治療ができ、月に1回の通院で済む場合もあります。
- 食事の制限が緩やか: カリウム制限などが少なくて済むため、食事の自由度が高いです。
- 残存する腎機能の維持: 腹膜透析は尿の排出が持続しやすく、腎機能が保たれる傾向があります。
- 電力不要: いかなる環境でも使用可能で、災害時などでも役立ちます。
- 患者の積極参加: 自分自身で治療に関与できるため、治療に対するモチベーションが向上します。
腹膜透析の短所
- カテーテルの管理が必要: 清潔を保つ必要があるため、手間がかかります。
- 操作の難しさ: 透析液の交換やカテーテルのケアは必須で、技術が求められます。
- 感染症のリスク: 腹膜炎やカテーテル部位の感染症の可能性があり、注意が必要です。
- 腎機能の低下への対処: 時間の経過とともに腎機能が低下した場合、血液透析に移行する必要があります。
腹膜透析の治療は、個々の患者状況によって適切な選択が異なります。医師と相談しながら自分に合った治療法を選ぶことが重要です。
PD(腹膜透析)ファーストとは
腹膜透析(PD)の利点は、透析開始後も血液透析(HD:HemoDialysisの略称)に比べて長期間尿がでることです。そこで、透析療法はまず腹膜透析から始めて、できるだけ尿量(残った腎機能)を保つことを目標として治療を行います。その後、腎機能が減ってきたら(尿量の減少)、透析量を増やすための治療を考えます。具体的には週一回の血液透析とそのほかの週5-6日に腹膜透析を組み合わせる“併用療法”、あるいは完全に血液透析に移行を提案します。このように、長期的な視点で透析ライフを考え、始めにPDを選択する方法を「PDファースト」といいます。
腹膜透析(PD)の仕組みや原理について
お腹には腸や肝臓などの内臓がある腹腔というスペースがあり、それらの臓器やその周囲は腹膜で覆われています。ここに柔らかいシリコン性の細い管(腹膜透析用カテーテル)を埋め込みます。この管を通して腹膜透析液を腹腔内に注入し、その後一定時間(通常は6~12時間程度)透析液をためておくと、“拡散”と“浸透圧”という原理のもとで、体に溜まっている毒素や余分な水分・塩分が透析液に排出されていきます。その後老廃物の蓄積した透析液を捨て、次にふたたび新しい透析液を腹腔内に注入します。この流れをバッグ交換と言い、バッグ交換を1日3~4回くりかえすことで体に溜まった毒素や水分を取り除くことができます。 バッグ交換は1回につき、おおよそ30分前後で終了し、自宅もしくは職場で行うことが出来るので、病院への通院は月1回が基本となります。
1.構造
- 薄い漿膜
- 多数の毛細血管が走り、表層には腹膜中皮細胞が一層並んでいる
- 体表面積とほぼ同じ面積(成人1.7~2.0m2)
- 女性は卵管開口部で一部交通している
2.働き
- 内部臓器の固定・保護
- 浸出、漏出、吸収、分泌などの生理作用
- 50~100mlの漿液があり、潤滑油・感染防御の働き
ライフスタイルに合わせた透析療法
バッグ交換のスケジュール
CAPD:1日3~4回自分で透析液を交換する標準的な腹膜透析
APD:夜間就寝時にカテーテルと機械を接続し、自動的に透析液を交換する腹膜透析
バッグ交換の時間はライフスタイルによって調整することが可能です。ほかにも上記二つを組み合わせた透析方法や尿量が減ってきた場合の併用療法など、腹膜透析は患者さんのライフスタイルや状態に合わせて柔軟に対応できる透析療法です



ご自身で行うこと
前項でお話ししたバッグ交換(透析液が入っている袋のチューブと、からだについている透析カテーテルとを接続し、透析液を出し入れする)と出口部消毒(カテーテルの入っている出口周辺を毎日清潔にすること)になります。
バッグ交換に関しては、ご自身で操作するマニュアルタイプ、もしくは簡易的な機械を使って清潔に操作する方法もあります。








