森下記念病院CKD地域連携診療のご案内
慢性腎臓病(CKD)は進行すると腎代替療法(腎移植、透析)を必要とする末期腎不全に至るため、そしてCKD自体が心血管疾患(脳卒中や心筋梗塞など)のリスクとなり、腎臓専門医による早期介入が望ましいとされています。このことは、日本腎臓学会からも推定糸球体濾過率(eGFR) < 50ml / 分 / 1.73㎡のCKDの患者さんは腎臓専門医による介入の必要性が推奨されています。
日本におけるCKDの患者さんは約1330万人と推定されており、これは成人の約8人に1人の割合であり、どなたにも起こりうる可能性があると言えます。
自覚症状に乏しいCKDを早期に発見・診断し、良質で適切な治療をかかりつけ医と腎臓専門医が連携を取り、早期から実施することでCKDの重症化を予防することが大切です。
そこで森下記念病院では腎臓病専門病院として、CKDの患者さんをかかりつけ医と連携パスを用いて、CKD連携診療へと発展させていきたいと考え、「CKD連携診療情報提供書」並びに「CKD連携治療計画書」を作成いたしました。
是非、ご活用いただければ幸いです。
下記項目のどれか1つでも当てはまる場合、ご紹介をご検討ください。
<連携の目安>
- 蛋白 2+以上
- eGFR 50~60ml/分/1.73m²未満
-
血清Cr
男性 1.5mg/dl以上
女性 1.2mg/dl以上 - 蛋白尿、尿潜血 1+以上
CKD地域連携診療
かかりつけ医
「森下記念病院CKD連携診療情報提供書」および「森下記念病院CKD連携治療計画書」を下記に掲載いたします。かかりつけ医は「CKD連携診療情報提供書」を以下のリンクからダウンロードしていただき、印刷の上、必要事項をご記入し、ご紹介いただける患者さんにご持参いただけますようお願い致します(当院では腎臓専門医4名が常勤しており、月曜から土曜まで、診療時間内であれば特に予約無くとも診療できるように体制を整えております)。
当院での診察の際に、「CKD連携治療計画書」を作成致します。この計画書および腎臓病連絡手帳をもとに、かかりつけ医の先生方とのCKD連携診療へと発展させていきたいと思います。
何卒よろしくお願い申し上げます。
■ESA製剤、HIF-PH阻害薬(腎性貧血治療薬)につきまして、血液データに合わせ当院でご希望される場合は、
“今後の治療欄”にレ点を記入してお知らせください。
■患者さん向けにCKD(慢性腎臓病)パンフレットを用意しております。患者さんをご紹介頂く際にご活用下さい。
患者さん
患者さんに「腎ぞう連絡手帳」をお渡しします。この手帳には、以下の内容の記入欄があり、患者さんへのセルフケア支援、かかりつけ医と当院の情報交換などに役立てていきます。
- セルフチェック表:受診前にセルフケアが出来ているかを患者さんに自己チェックしていただきます。
- 血液検査結果記入表:受診毎の腎機能検査結果を記入します。
- メモ欄:医師やスタッフからのお知らせや情報を記入します。
これは、患者さん、かかりつけ医、腎専門医、スタッフの皆さんとの連絡ノートとして活用します。
かかりつけ医 | 当院 (腎専門医) |
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メリット | 腎専門医との連携した 診療体制 急変時の診療連携 (入院も可能) |
CKD患者様との早期か らの関りにより、信頼 関係の構築と療養支援 が行える。 |
診療 | 従来通りの診療 | 患者様の状態に合わせた 定期的な診療 |
検査 | 従来通りの検査 (採血、検尿) |
トータル的な検査が可能 (採血、尿、画像検査、 心血管系検査など) |
定期薬 処方 ・ 注射 |
従来通りの定期薬処方 ESA製剤、 HIF-PH阻害薬 (腎性貧血治療薬) 使用の相談※1 |
腎臓疾患に関する薬剤の 処方相談 |
支援 ・ 治療 |
腎代替療法選択外来、 計画的透析導入、 腎移植外来、 緊急時の入院 |
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指導 ・ 教育 |
栄養指導、服薬指導、 生活指導、腎臓リハビリ、 ソーシャルワーカーによる 支援 |
※1 ESA製剤、HIF-PH阻害薬(腎性貧血治療薬)療法注射は、CKD連携診療情報提供書にレ点でのチェックBOXがあります。
当院の思い
CKD患者さんのQOL(生活の質)および生命予後の向上を目的としてCKD地域連携に取り組んでまいります。進行と合併症の予防を目指した包括的な療養生活と自己管理の教育を行います。CKDの早期からの介入による早期治療は、生命予後が良好であるとされています。
腎臓病は自覚症状が乏しいため、気付かないまま症状が進んでしまうことも少なくありません。そのため患者さんとご家族に腎臓病を良く知っていただくことが大切であると考えます。
医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーなどCKDチームの専門性を活かした療養支援を目指し、重症化予防を目標に、患者さんやご家族からお話を聴かせていただきながら、腎機能障害の段階に合わせた支援をいたします。そうして早い段階から患者さんと関わる中で、良好な信頼関係の構築を最も大切にしていこうと考えております。
当院では、腎機能障害が進行した場合でも一貫した継続的な診療体制を整えており、“腎代替療法選択外来”にて腎代替療法への円滑な橋渡しを行います。
腹膜透析、血液透析、腎移植、バスキュラ―アクセス外来を設けており、豊かな療養生活への始まりの一歩を患者さんとご家族に十分ご理解いただいた上で、納得できる最善の治療選択への自己決定を支援いたします。
CKD地域連携促進のために、専門性を活かしたCKDチーム医療を充実させ、一人ひとりの患者さんの思いに寄り添った温かい医療の提供を目指しています。
その他、ご不明な点やご希望されることがございましたら、遠慮なくお申し付けください。簡単ではありますが当院のCKDの取り組みについてご案内させていただきました。どうぞよろしくお願い申し上げます。