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BLOG第184回 フレイルはご存じですか?

2023.06.12

フレイルはご存じですか?

森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様
こんにちは。リハビリテーション室、理学療法士です。

 

皆様はフレイルという言葉をご存じでしょうか?
人生100年時代と叫ばれる中、健康的に長生きするためにフレイルは非常に重要な概念なのです。

 

フレイルとは?
フレイルとは加齢や病気など様々な影響から心身機能が低下したものの、日常生活は自立しており、健康な状態と要介護状態の中間の状態を指す用語です。
フレイルになると日常生活の動作が大変になったり、転びやすくなったり、病気がちになったりと生活のしにくさを感じるかと思います。

フレイル図①

フレイルの特徴

フレイルの状態は適切な対処をすることで健常な状態に戻る可能性が高いという特徴があります1)
裏を返せば、放っておくと要介護状態になりやすい状態でもあります。
要介護状態となってから体力を回復させることは容易ではありません。

また、2019年の日本人の平均寿命と健康寿命の差は女性で12.06年、男性で8.73年と報告されています2)
一生のうち約10年程度は何らかの介護を必要とする可能性があるということになります。

これらことから、フレイルをいち早く察知し、介護予防的に対処していくことが重要となります。

 

フレイル対策
当然のことながら運動を行うこが、フレイル対策には重要となります。
内容としては前回の“腎臓リハビリテーションとは③”で述べたものを参照していただき、今回は割愛させていただきますが、継続して行わなければ意味がありませんので、無理なく続けられる範囲で行ってみてください。

また、運動と同等に、バランスの取れた食事と社会とのつながり(家族・友人との外出や地域のイベント・ボランティア等への参加など)が大切であるといわれております。

なお、現状、要介護状態の方は日常生活上困難となっていることや低下している心身機能に適した運動を実施していく必要があると思われるため、リハビリテーションを専門的に行える施設等で集中的な運動療法を行うことが望ましいと思います。

 

 

フレイルチェックをしてみましょう!
フレイル図②

相模原市HPより:https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/kurashi/kaigo/1026058.html

繰り返しになりますが、なるべく早い段階から運動の習慣つけることが大切です。
「私フレイルかな?」と気になった方は当院リハビリスタッフまでお声がけください。
自宅では測りにくい握力などの検査も行えます。
フレイル以外の事柄でも、お気軽にご相談ください。

 

1)Gill TM, Baker DI, Gottschalk M, Peduzzi PN, AlloreH, Byers A: A program to prevent functional declinein physically frail, elderly persons who live at home. NEngl J Med 2002; 347: 1068―1074
2)厚生労働省 健康寿命の令和元年値について
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000872952.pdf

 

メモ

地域在住高齢者(65歳以上)におけるフレイルの推定有病率は8.7%であり、高齢になるにつれ増加します1)。
また、血液透析を受けている方のデータでは21.4%がフレイルであったという報告2)もあり、一般高齢者と比べて多いといわれています。
1)Hiroshi Murayama, Erika Kobayashi, Shohei Okamoto, et al. National prevalence of frailty in the older Japanese population: Findings from a nationally representative survey. Arch Gerontol Geriatr. 2020 Aug 9;91:104220.
2)Takeuchi H, Uchida HA, Kakio Y, et al. The Prevalence of Frailty and its Associated Factors in Japanese Hemodialysis Patients. Aging Dis 2018; 9:192‒207