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BLOG第231回 腹膜透析患者様へのMSWの関り

2024.01.22

腹膜透析患者様へのMSWの関り

森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、医療相談室です。

 

先日、都内の福祉大学でMSWを目指す学生さんより、「MSWが行う高齢者腹膜透析患者への支援の実際について」という研究テーマで卒業論文を作成するにあたり、現場で働くMSWにインタビューを行いたいという要望があり、実際にその学生さんとお話しをさせて頂く機会がありました。

 

インタビューされた内容の一部をご紹介させていただきます。

Q.腹膜透析患者様へのMSWの関りについてお聞かせください。
A.まず療法の選択は、ご本人、ご家族、医師、看護師を交え相談を行い、どの療法が望ましいか、お身体の状態や家族のサポート体制、利用出来る社会資源等を鑑みて総合的に判断されます。それぞれの療法に関するメリット、デメリットは決定する前の段階までに充分に説明を行い、ご納得いただいた後に治療方針を決定します。透析導入が近づいて来たら、MSWから透析治療に関わる医療の助成制度について、ご本人、ご家族に説明を行い申請のサポートをすることをお伝えしています。利用出来る医療の助成制度は血液透析も腹膜透析も同じなので、特に腹膜透析に限定された支援はありません。

腹膜透析は自宅で行える治療であり、血液透析のように週3回の通院はなく、月1回程度の外来治療で済むというメリットが選択の一番の決め手になっていると思います。しかし、高齢者の腹膜透析となると、ご本人の認知機能の低下、体力の低下、ご家族の手技取得にも時間を要するため、退院後のサポート体制の充実が不可欠となります。腹膜透析導入のための入院期間中に手技の取得やあらゆる社会資源の案内、ケアマネジャー、訪問看護などと連携し、ご本人、ご家族が安心して自宅で治療を継続出来る体制作りを準備する必要がありますので、退院支援にMSWが関わります。

デメリットの一つとして感じるのは、おそらく同居のご家族は慣れるまで気が休まらないのではないかと想像しています。そういったご家族のために、病院スタッフ、介護スタッフがチームとなって身体的、精神的にサポートをする必要があります。

 

 

インタビューをした学生さんから、血液透析、腹膜透析どちらの療法にも一長一短がありますね。MSWの本音が聞けて良かったですと言って下さいました。 

逆に私たちから学生さんへ何故高齢者の腹膜透析に着目されたのかを聞いてみました。
その学生さんは茨城県出身で、透析をする身内がいらして近在に週3回通える透析病院がなく、通院先探しに苦労された経験があるそうです。望む治療にも地域格差があるのだと感じました。
MSW目指し頑張って下さいとお伝えし、インタビューを終了しました。

 

当院HPより腹膜透析についてご案内!
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<動画> 腎臓病の治療選択~血液透析・腹膜透析・腎臓移植について~