血液透析センター

血液透析センター 認定看護師インタビュー

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Staff Interview

腎代替療法のことなら

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看護師
YUKARI SUZUKA
看護部教育担当課長
透析看護認定看護師
患者さんがその人らしくより豊かな人生を送れるよう、 私たち看護師は、多職種のスタッフと力を合わせ、 チーム医療で温かい最良の看護の提供をめざします

患者さんと長く関われる腎不全看護に喜びを感じています

私は、物心がついたときからずっと看護師になりたいと思っていました。おそらく身内に医療関係者がいたからだと思います。私が高校生の時に大好きだった祖母が亡くなり、初めて人の死を間近で経験し、強い衝撃と悲しさを感じました。そして、「人の役に立てる仕事をしたい!」と強く思うようになり、必ず看護師になると決意を固めました。

最初は呼吸器内科病棟の所属でした。そこでは患者さんが退院されると、その患者さんとの関わりはなくなってしまい、人と人との関わりを築くことが少なかったように思います。その後、透析室の看護師として勤務することになりました。慢性疾患の患者さんとの関わりは生涯続きます。そして同じ疾患であってもお一人おひとりの体験している病の状態は同じではありません。疾患の個別性もですが、これまで辿ってこられた人生経験や、疾患をどのように捉えておられるのか、そして今後どのようにされたいかなど、生き方や家庭環境、社会環境を踏まえて、全人的視点からみると全く異なる個人との向き合いでした。その中で私自身が人として育てられ、患者さんの思いに寄り添うことの大切さを学びました。

私は、患者さんに育てていただいたのです。慢性疾患を持つ患者さんとそのご家族との長い関わりの中で、一緒に喜んだり悲しんだり、共に歩める喜びを感じています。ジョイス・トラベルビーの「人間対人間の看護」の大切さを患者さんから教えていただいているように思います。

もちろん看護には多様な役割があります。急性期看護も慢性期看護もそれぞれが重要な看護の役割と素晴らしさがあります。私の場合は、透析看護に長く携わりその看護の特徴と私の思いがリンクし、腎不全看護に特化した資格取得の挑戦へと導いてもらえたのだと感じています

透析看護認定看護師の役割を考えての看護実践を目指しています

今日、看護師にはさらなる専門性の深化が求められています。日本看護協会は、腎不全看護領域に関しては、慢性疾患専門看護師や透析看護認定看護師といった認定制度を作って、看護の質の向上を目指しています。日本腎不全看護学会は慢性腎臓病療養指導看護師(DNL)の育成を進めています。こうした認定を受けた看護師は多職種間の連携と調整役を果たし、多様化する透析治療を熟知し、患者さん個々の状態に合わせた創造的な看護を実践しようとしています。

私は日本看護協会の透析看護認定看護師を、誕生間もない時期に取得しました。そこで、全国の腎不全看護に携わる仲間と一緒に学び合いました。今、その役割はますます重要になってきているように思います。

今日、「働き方改革」「タスク・シフティング」など医療提供者側についての新しい考え方が出てきています。それは、患者さんにより良い医療を提供するための変革です。看護師にも結婚、出産、育児など生活を続けながら働く人が多くいます。夜勤ができない状況や土日はどうしても休まなければいけないなど、それぞれの生活状況は異なっていますが、その条件の中で生き生きと能力を発揮できたらと考えます。一律に同じ仕事をする時代ではもはやなくなってきていると思います。

そういう意味では、それぞれがそれぞれの生活を大切にし、その時々に合った働き方をすることが患者さんに良い看護が提供できることに繋がると思います。一方で医療はどんどん進歩していますので専門性を深めることも同時に必要です。

たまたま、私は認定看護師の資格を取得することができたのですが、そうした役割にふさわしい働き方を実現し、どんな状況にあっても「今、その人の働き方」を大切にして、看護の質を高めていきたいと強く考えています。また、資格を取得したい!という情熱を持つ看護師の支援をしていきたいです。そうすることで、患者さんに安心して治療を受けていただけるように、そして温かい看護の提供ができるように努力したいと思っています。

腎不全保存期から患者さんとご家族を慢性腎臓病(CKD)の専門チームが全面的にサポートします

腎臓は、責任感がとても強い臓器です。体の中の体液の量と組成の調整を一手に担って、水分と塩分の帳尻を合わせています。責任感が強いためか、腎不全が進行しても症状が出にくい、無言の臓器とも言われています。ですので、健康診断で腎臓の病気が見つかる、他の病気で検査を受けたときに腎臓の機能が低下していることが分かることが多くあります。このような患者さんに腎臓の働きからお話して、腎臓を守るための支援を行っています。それが当院の腎不全保存期外来です。腎不全への進行を進めないために医師の診察以外で、患者さんとご家族からお話を聞かせていただきながら、患者さんと専門スタッフ(CKDチーム)が一緒に腎臓を守っていくことが目的です。CKDチームは医師をはじめ、看護師、臨床工学技士、栄養士、理学療法士、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種が協働してサポートいたします。

今日、高齢化や生活習慣病を背景に慢性腎臓病の患者さんが増加しています。腎臓病は、早期発見、早期治療が最も大切です。自覚症状がない方でも尿検査、採血検査で病気があるかが分かります。一人でも多くの方が透析に導入されなくてもよい生活が送れますように、また、透析導入を遅らせ先送りできますように、CKDチームが応援団となってお手伝い致します。

その人らしくより豊かな療養生活を送っていただくための腎代替療法選択支援外来

保存期を経て末期腎不全になり腎臓が機能しなくなると、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)を選択していただくことになります。わが国では血液透析を選択される患者さんが多いです。けれども、患者さんがその人らしさを大切に、生命の質(QOL)を維持し高めていくことを念頭とすると、必ずしも血液透析だけではないのではないかと思います。実際に、保存期や療法選択時には透析に入るのを拒否されていた患者さんが、腹膜透析を選択された結果、満面の笑顔で腹膜透析外来にいらしたとき、私は本当に嬉しくなりました。腹膜透析は、月に一度の受診となります。その患者さんは、「みんなで温泉旅行に行ってきたんだ。何十年ぶりかなあ。旅行中は腹膜透析を少なくして調整したんだ。先生と相談したからね」と嬉しそうにお話してくれました。その患者さんの活発に行動される様子と生き生きとした表情は、これまで拝見したことがありませんでした。これは腎不全看護師としての醍醐味だと思います。患者さんの嬉しさが私たちのやりがいに繫がっていることを思いました。

このように患者さんの状況によって、血液透析だけでなく、腹膜透析、腎移植を選択することができます。どの治療法を選ぶかということは患者さんやご家族にとって非常に重要な大きな問題です。なかには、「透析に入るくらいなら死んだ方がましだ」という患者さんもいらっしゃいます。そう話される患者さんのお気持ちに寄り添いながら、ゆっくりと腎代替療法についてお話させていただきます。その言葉の裏には、腹膜透析や血液透析、腎移植など実際の治療の中身がわからないために恐怖を感じておられる患者さんもいらっしゃいました。

血液透析をしながら結婚されて子供を授かって幸せに暮らしている方、高齢の患者さんも「孫の顔を見ることができて透析をして良かった」という方もおられます。腹膜透析のおかげで仕事をやめずに済みましたという方、腎移植を受けて普通に仕事をしている方もおられます。

そうしたプラスの情報を患者さんやご家族と共有したり、人生においての楽しみや大切にされていること、また心配事や不安などの思いを十分にお聞かせいただいたりします。そして、病気や治療法に関しても十分理解していただいた上で、ライフスタイルも考慮した、最も納得できる最善の治療法をCKDチームと一緒に選択していただくことを大切にしています。それをSDM(Shared Descision Making:協働する意思決定)と呼んでいます。私たちはそれを実現するために多職種との連携をしっかり作り、患者さんがより豊かな療養生活を送って頂けることを願いながら、腎代替療法についての継続した学習と経験を積み、一層の努力をしていきたいと思います。

チーム医療と専門性で患者さんに安心、安全と信頼していただける看護の提供をめざします

腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)は、その治療を受けなければ、生きていけないという命に直結した療法です。それは医学的に明確なエビデンスの確立した療法を意味しています。そのため、患者さんの中には透析施設の看護師に対し、感謝の念と同時に「思ったことが言えない」と考える方もおられます。また血液透析は週3回、1回4時間から5時間の治療を生涯にわたり、継続しなければならないという点から患者さんと看護師との間には、継続的で長期の人間的な関係が形成されています。こうした特徴から透析療法に携わる看護師は、大きく育ってきました。それはわが国の看護の1つの方向性を示すものとなり得たと思います。この腎臓病領域の医療は患者さん参加型の医療であり、患者さんと医療者双方が力を合わせて築き上げてきたものであると思います。

私たちは時代の変化を敏感に読み取り、自らを成長させ、患者さんとそのご家族を地域ぐるみで支え合える医療の総合的な安定感のあるものを目指します。

「森下記念病院に来て本当に良かった!」「あなたたちに出会えて良かった!」そう思っていただけるように、私たちは日々、努力を重ねていきたいと思います。