感染と放射線といじめと
森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは。
今回は放射線科からお届けいたします。
昨年末に中国武漢で発生した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、
瞬く間に世界中で流行してしまいました。
しかし、歴史を見ても人類は世界的な感染症を何度も経験しています。
例えば、13世紀には十字軍などの移動で広がったハンセン病は、
感染力は決して高くないものの、当時は感染経路が解からず遺伝病と誤解されたり、
感染者は人里離れた場所へ隔離されたり、療養所に入れられたりしました。
14世紀にはペストがモンゴル軍や交易によって広がり、感染が広がると、
ペストはユダヤ人が井戸に入れた毒薬が原因だとのデマが流れ、
南ドイツを中心にユダヤ人の迫害が起こりました。
コレラ、黄熱病、梅毒、結核など時代により、いろいろな感染症が発生しましたが、
感染症が広がると、人が持っている差別や偏見が浮かび上がります。
感染症は人の理性を奪います。
それは現在においても同様です。
最前線で奮闘している医療従事者を称える人々がいる反面、
その家族や本人を誹謗中傷する人々もいます。
人間とはなんなのでしょうか。
感染は、三つに分けられると思います。そしてそれは人々を蝕んでいきます。
- 人体への感染:発熱・倦怠感・痛み・呼吸苦
- 心への感染:不安・恐れ・恐怖・祈り
- 社会への感染:偏見・無知・差別・猜疑心・迫害・暴力・恐怖心の伝播
実は、コロナウィルスより人間の方が恐ろしい存在なのかも知れません。
東日本大震災の福島原発事故で被災し、疎開した子供たちが放射能や被曝という
心無い言葉で虐められたことは記憶から消えていません。
虐めた人たちは忘れても虐められた人たちは決して忘れません。
でも、危険と分かっていても、未来の日本のためには、
原発の処理だって誰かがやらなければなりません。
宇宙戦艦ヤマトの主題歌に
「誰かがこれをやらねばならぬ 期待のひとが俺たちならば」
(作曲:宮川 泰 作詞:阿久 悠)
という歌詞があります。
危険を顧みず原発処理の最前線に立つ人たち、
COVID-19に立ち向かい一人でも多くの人を助けようとしている医療従事者たち、
そして心配をしながらもそれを支え励ます友人や家族。
みんな頑張っています。
どうか皆さんも応援してください。