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BLOG第8回 骨密度と骨質

2020.06.08

骨密度と骨質

森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様。
こんにちは。放射線科です。

 

緊急事態宣言は解除されましたが、東京アラート発動中と未だ気を抜けない状況であり、
ステイホームが現在も呼びかけられております。
家で閉じこもっているというのは、本当にストレスが溜まりますよね。
私を含めた中高年のオヤジたちは家でゴロゴロしていると粗大ゴミ扱いされるので肩身の狭い思いをしています。

 

ところで、こんなに運動もせずにいたら筋肉減少、脂肪増加、骨も脆くなってくるのではと心配になります。
今回は、私たち放射線科が骨の強さを測定する仕事をしている関係上、
骨密度について少しばかりお話ししようかと思います。

 

以前は骨粗しょう症というのは、骨密度が低下して骨折しやすくなる病気とされていたので、
予防にあたっては「骨密度」を中心に考えられてきました。
しかし、骨密度が正常範囲であるにもかかわらず、骨折リスクが高い患者さんがいることがわかり、
その原因を調べると、人によって「骨質(こつしつ)」に違いがあることが明らかになってきました。
つまり骨の強さは「骨密度」だけじゃなく「骨質」も大切なんです。

 

骨粗しょう症の定義は
「骨強度が低下し、骨折しやすくなる骨の病気」
と改められ、「骨強度」には骨密度が70%、「骨質」が30%関係していると説明されるようになりました。
つまり骨粗しょう症は、骨密度の低下と骨質の劣化、その両方が影響しあって骨折リスクが高まる病気といえます。

 

「骨」といえばカルシウムを連想しがちですが、骨の体積の50%はコラーゲンなんです。
仮に骨を鉄筋コンクリートの建物とすると、カルシウムはコンクリートで、コラーゲンはコンクリート内に埋まっている鉄筋となります。
鉄筋(コラーゲン)の強さを左右するのは、鉄筋同士をつなぎとめるコラーゲン架橋で、これはいわば梁(はり)の役目をして、建物全体の強さにまで影響を及ぼしています。
さらに、このコラーゲン架橋には「善玉架橋」と「悪玉架橋」があり、悪玉架橋が増加すると、コラーゲン同士のつなぎ止めが弱くなり、しなやかさが失われ、硬くてももろい、折れやすい状態となってしまいます。

それに加えて骨を作る“骨芽細胞”と骨を壊す“破骨細胞”がお互いに協調し合って働くことにより
骨の構造がバランス良く綿密に作られています。
このバランスが崩れたりすると骨の構造が破綻し始めます。

悪玉架橋は加齢とともに増えるほか、糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病によっても増えることが分かっています。
こうした生活習慣病の患者さんでは、骨密度検査で正常に近い結果が出ても骨折リスクが高いことがあります。

 

それから食事のバランスもあります。

ステイホームで外出できず、食事内容も単調になっていることと思います。
良質なタンパク質はカルシウムの吸収を助け、骨強度にいい影響を及ぼします。
ただし、たんぱく質のとりすぎにも問題があり、抱えてるご病気によっては制限もあるため、
できるだけご自身のお身体に即したバランスのいい食事が大切です。

 

そして運動も大切です。

スポーツクラブに行かなくとも、骨も筋肉もご自宅で鍛えることは十分可能です。
自分の体重を上手く活用したスクワットなどは十分な効果が期待できます。
(詳しくは今後のリハビリテーション部門の担当回でお伝えします)
ちなみに水泳や水中歩行などは浮力が働くため、筋肉を鍛えるためにはいいのですが、
骨を丈夫にする目的にはやや不向きです。
まずは「ラジオ体操第一」からやってみましょう。
本格的にやると結構キツいですよ。私は第二で挫けました。

 

丈夫な骨を維持するために、是非コツコツと手軽にできるトレーニングや、バランスの良い食事など意識して生活を送りたいものです。