マグネシウムの話①
森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、院長です。
ようやく冬が訪れ、最近は明け方から鼻水がとまらなくなることがよくあります。
さらに人生初のぎっくり腰を経験しています。
今日は知っているようで知らないことの多い“マグネシウム”というミネラルについて、総説の論文を読んだので、その中身を交えてお話します。
Magnesium Disorders: Core Curriculum 2024 AJKD 83(6): p 803-815, June 2024
マグネシウムは自然界の色々なところに存在しており、生物にとって重要な役割を果たしています。人間にとっても、もちろん重要である必須ミネラルの一つで、ヒトの体内ではマグネシウムは約20-30g存在し、65%は骨に、残りが筋肉や組織に分布しており、血中に存在する割合はわずか1%となっています。
マグネシウムは体内で600以上の酵素反応の補因子として働き、ゲノムの維持(複製、転写、翻訳、DNA修復)、エネルギーの産生や利用に重要な役割を担っています。また副甲状腺ホルモンの分泌を調整し、ビタミンDの代謝に作用することで骨格の形成、代謝、維持にも大きな働きをしています。慢性腎臓病(CKD)で透析を受けられている方にとっては、副甲状腺ホルモンの分泌という側面において忘れてはならないミネラルとも考えられますが、一般的にCKDが進行した患者さんではMgが尿から排泄される量が減少するため、血中濃度の上昇には気を付ける必要があります(尿からの排泄が減る一方で腸管からの排泄は増加するようです)。
少し細かい話ですが、腎臓では15-20%が近位尿細管から、50-65%がヘンレ上行脚から、5-15%が遠位尿細管から再吸収されており、約2400mgが一日にろ過され、実際に尿から排泄されるのは100mg/日とされています。
マグネシウムは小腸で主に吸収されています。一日当たりで成人女性では310-320mg、成人男性では400-420mgのマグネシウムの摂取が推奨されますが、多くの現代人では、この推奨摂取量を下回っているようです(これはアメリカの論文の内容のため、日本人にとってはもう少し少ない推奨量で成人女性:260-290mg、成人男性320-370mgとなっているようです)。
食品としてはアーモンドやナッツや胡麻などの種実、そして海藻類などに多く含まれており、不足しがちとなるために摂取を意識する必要があります。その一方で、CKDの患者さんにとっては種実類はリンが多く含まれており高リン血症に、海藻類にはカリウムが含まれていることから高カリウム血症に気を付ける必要があります。付け加えて、普段よく目にする薬のなかで、血中のマグネシウムに影響を与える薬があります。便秘症に対する下剤としてしばしば服用される酸化マグネシウム錠は、腎臓が正常に機能していればほとんど問題とはなりませんが、腎機能障害のある方では血中マグネシウム濃度が上昇する可能性があります。
そして日頃よく処方される胃薬のひとつであるプロトンポンプ阻害薬は、腸管からマグネシウムは排泄する機能があるため低マグネシウム血症を惹起する可能性があります。
少し長くなってきましたので、続きは次回のブログで述べていきます。






