腹膜透析をご存じでしょうか?
森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは。外来処置室です。
皆さんは腹膜透析をご存じでしょうか?
実は日本では、まだあまり知られていない腹膜透析。
今回は、その腹膜透析について少しお話しさせていただきます。
腹膜透析とは??
腎不全治療の透析療法の一つ。お腹の中に透析液を入れ、腹膜を使って、透析(老廃物や水分の除去)を行う治療方法です。お腹に入れる透析量は成人で1.5L~2.0L程度。
腹膜透析には2種類あります。
- (CAPD)
手動で1日3~4回透析液を交換する治療法。日常生活の中で、自宅や職場や学校などで行える。1回の治療にかかる時間は、30~40分程度。 - (APD)
夜間寝ている間の睡眠時間を利用して透析液の交換を自動的に器械で行う治療法。日中の自由時間を確保するために開発された治療法で、多くの方が使用している。
腹膜透析のメリット
- 血圧の変動が少なく、心臓の負担が少ない。
- 残存腎機能を保つことができる。(血液透析と比較しておしっこが長く出る)
- 治療に痛みを伴わない。
- 通院が月1回。自宅でゆっくり過ごすことができる。
- 食事・飲水制限が穏やかである。(血液透析と比較して厳しいカリウム制限がない、自尿がある場合は飲水制限も緩やか)
腹膜透析のデメリット
- 腹部膨満感などの自覚症状が生じる場合がある。
- 腹膜炎や出口部感染のリスクがある。
- 残存腎機能が低下し、透析不足になった場合は、血液透析との併用療法または血液透析へ移行する必要がある。
腹膜透析は、血液透析と比較して身体の負担が少なく、日常生活の自由度が高く食事制限も緩やかなことから、ご高齢の方にも優しい治療法です。しかし、日本では腹膜透析が普及しておらず、2019年では血液透析と比較し、腹膜透析を受ける患者は約3%(9920人)に留まっております。まずは皆さまにも、腹膜透析とはどのようなものなのかを知っていただけたらいいなと思います。
現在当院では約30名の患者様が腹膜透析を行っています。
実際の腹膜透析患者様の声を聴いてみましょう!
- 最初は大変だったけど、今は日課になっているよ。(80歳代男性)
- 先生に腹膜透析を1日お休みしていいよって言われて息子に温泉に連れていってもらったの(80歳代女性)
- お父さんと協力してやっているよ。これは不思議なことに苦にならないの。(80歳代女性)
- もう4年目だから慣れたよ。会社で腹膜透析をするスペース作ってやっているよ。(50歳代男性)
皆さん、治療というよりも日常生活の習慣として腹膜透析を行っている印象を持ちました。
外来に元気に来てくださる患者様の姿をみると、とてもうれしく感じ日々パワーを貰っています。
今年度から、看護師の他に臨床工学技士も腹膜透析外来に参画しており、腹膜透析治療のデーター化・腹膜透析のチューブ交換・インボディ検査(身体の水分・筋肉量・脂肪量などを測定し、浮腫みがないか栄養状態に問題ないか等を調べる)を担当しています。
PDチーム一丸となって治療をがんばる患者様のサポートがしっかりできるように日々研摩に励んでいきたいと思います。