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BLOG第55回 慢性腎臓病(CKD)への当院の取り組み①

2020.12.03

慢性腎臓病(CKD)への当院の取り組み①
~CKD保存期外来について~

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、こんにちは、院長です。

 

今回から3回にわたり、慢性腎臓病(CKD)に対する当院の取り組みについてご紹介します。

 

皆様は慢性腎臓病という言葉を聞いたことがあるでしょうか。慢性腎臓病(CKD)とは3ヵ月以上持続するすべての腎臓病を指します。現在、我が国の1,330万人の方がこれに当てはまると考えられ、20歳以上の8人に1人は腎臓病と推測されています。このCKDの厄介なところとして、一度悪化した腎機能が元の腎機能に戻りにくいこと、そして腎機能障害がかなり進行した状態になるまで症状が出にくいことが挙げられます。そしてCKDが進行すると透析療法や腎移植が必要な末期腎不全に至り、患者様の負担が大きくなります。

 

昨今、このCKDの進行を防ぐことが我が国全体の課題としても取り組み始められており、内閣府の経済財政運営と改革の基本方針2020の中で、慢性腎臓病の予防と重症化予防の推進が掲げられています。
(内閣府:経済財政運営と改革の基本方針2020について)
当院の位置する神奈川県においてもCKDの取り組みがホームページ上で公開されています。
(令和元年度神奈川県慢性腎臓病(CKD)対策連携協議会審議結果)

 

腎不全治療に注力している当院においても、現在CKDの早期発見、早期介入、進行抑制に対する体制を強化して取り組んでいます。そこで、CKDに対する当院の取り組みの3つの柱について説明させていただきます。

 

①CKD保存期外来

②CKD連携パスを用いた地域のかかりつけの先生方との連携

③腎代替療法選択外来

 

①CKD保存期外来について
開設の背景

  • CKDは自覚症状に乏しく、病識が乏しいことが多い。
  • 一度悪化した腎機能が元の腎機能に戻りにくいことが多く、特効薬や即効性のある治療が無く、長期にわたり病気に向き合う必要がある。
  • 医師の診察のみでは時間的制限がある。
  • 腎臓の働きや、ご自身で出来る管理について理解することが、CKDの病態進展を予防する重要な手段である。

 

開設の目的

  • CKDの早期治療、進行抑止を図る。
  • 多角的な職種による介入により、患者様のセルフマネジメント力(ご自身で身体を管理する能力)を向上させる。

 

このような背景と目的をもとに、CKD保存期外来を開設いたしました。

実際には、人間ドッグや健康診断で腎機能や尿検査で異常を指摘された方や、近隣の医療機関からCKDでご紹介いただいた患者様に対して腎臓専門医が早期から介入し、詳細な採血や尿検査を実施し、現状を把握し、診察させていただきます。また、透析看護認定/慢性腎臓病療養指導看護師等の積極的な介入により、腎臓の働きのご説明や生活環境を把握させていただきながら、どのように患者様と腎臓を守っていくかを考えていきます。そのほかにも、栄養士により個々の患者様に合わせた適切な栄養バランスや食事の工夫に関するアドバイス、理学療法士による運動についての情報提供を行っていきます。

 

このように専門性をもった職種で多角的に介入することで、大切な腎臓を患者様と共に守っていくことを目標にしています。

 

次回ブログでは②CKD連携パスを用いた地域のかかりつけの先生方との連携についてお話しさせていただきます。