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BLOG第96回 Look for ways to do it instead of reasons I can’t.

2021.10.11

Look for ways to do it instead of reasons I can’t.

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、薬剤課です。

 

だいぶ涼しくなりましたね。
散歩がとても気持ちよい季節です。

 

先日、私の知り合いが出産しました。

 

その子は胎児のときから腎臓の機能がありません。
そのため、羊水が作られないまま出産となりました。
羊水がなければ胎内で肺の形成が不十分となり、呼吸が困難となります。

 

ポッター症候群といって10000人から40000人に1人の割合の頻度だそうです。
1年間に日本で90万人が生まれるのであれば、約25人から90人、一都道府県に2人の割合で出生するかどうかの確率です。
また、生存率はほぼ0%といわれていました。

 

薬剤師ですが腎臓疾患を標榜する病院で働いている者として調べました。どうしたらその子が大人になれるのか。

 

まず、人工羊水注入法による羊水の補充。これには総合周産期母子医療センターの指定を受けるくらいの施設でないと難しい。

 

いざ出産となった場合、出生児の肺の低形成が考えられるのでNICUがある病院での出産となる。
また、羊水が少ないことで逆子での出産となる可能性があるので、帝王切開が考えられる。

 

次に腎臓の代わりとなるものですが、乳幼児には腹膜透析で代わりとするのがほとんどだそうです。
しかしながら、乳幼児の透析を請け負える病院がどれだけあるのだろうか・・・
また、その手技と家族をサポートできる体制が作れるのだろうか・・・

 

ある程度成長したら、今度は腎移植となります。そして、移植後フォローとなるでしょう。

 

これ、今の日本の医療で行うのは非常に困難じゃない?
個々に医療を受ける事はできるでしょうけど、これらがひとまとめにできる病院ってあるのかな?

 

しかし、今現状でこの困難と闘っているお父さんお母さんがいらっしゃるらしい。
また、そのお父さん、お母さんそしてその子のがんばりが生存率0%の疾患を生存率1%へ引き上げている!
みんなに希望を与え、今もこの困難と闘っているのでしょう。
まさに『敬服』という言葉しか浮かびません。『偉業』と言っても過言ではないと思います。

 

残念ながら、私の知り合いの子はその困難な状況、生きるための闘いにすら手が届きませんでした。

 

また何もできない無力な自分を感じる結果となりました。

でも、
Look for ways to do it instead of reasons I can’t.(出来ない理由を探すより、出来る方法を考えよう)

今回も、そう思いました。