『食中毒にご注意!』①
森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは!検体検査課です。
暑い日が続いてますが、夏場は料理や食材が傷みやすくて本当に困りますよね…
食中毒が増える時期でもあるので今回は食中毒について少しお話させて頂こうと思います。
<気温や湿度が上がる時期は要注意!>
食中毒は有害な微生物(細菌やウイルス)に起因する健康被害です。食品や飲料を介して有害物質が体内に入ると、腹痛、嘔吐、下痢、発熱などの症状が現れます。
食中毒の原因は大きく分けると、次の4つです。
- 細菌
- ウイルス(ノロウイルスなど)
- 寄生虫(アニサキスなど)
- 自然毒(毒キノコ、フグなど)
中でも、暑くなる季節に特に気を付けたいのは細菌による細菌性食中毒です。
細菌性の食中毒は1年を通じて発生しますが、特に食中毒を引き起こす細菌は、室温で活発に増殖し始め、30~40℃で最も増えやすくなります。その為、気温や湿度の高くなる梅雨時や夏場は特に注意が必要となります。
食中毒を引き起こす代表的な細菌には次のようなものがあります。
|
主な生息場所 |
注意したい食材 |
カンピロバクター |
動物の腸管 |
食肉全般、特に鶏肉 |
黄色ブドウ球菌 |
人や動物、自然界に広く生育 |
人の手の触れた食品 |
病原性大腸菌(O-157など) |
牛や豚などの家畜の腸管 |
生肉、加熱不十分な肉 |
サルモネラ |
動物の腸管 |
生肉、特に鶏肉と卵 |
腸炎ビブリオ |
海水、海産物 |
魚介類 |
ウェルシュ菌 |
動物の腸管、土壌、下水 |
カレーなどの煮込み料理 |
セレウス菌 |
土壌など自然界に広く生育 |
小麦や穀類など |
<「加熱しても死なない菌」「冷蔵庫でも増える菌」がある!?>
食中毒を引き起こす菌はそれぞれ特徴が異なり、感染源となる食材も様々です。一般的には十分な加熱で食中毒は防げるとされますが、一部例外となる菌もありますのでご紹介させて頂きます。
- ウェルシュ菌・セレウス菌
ウェルシュ菌やセレウス菌は60℃以上の環境下では増殖できませんが、芽胞と呼ばれる固い殻に閉じこもって休眠し、生き延びることが出来ます。驚くことに100℃の高温で加熱調理しても芽胞で守られているため菌は死滅しません。
芽胞に守られた菌は、調理後すぐに食べてしまえば害はありませんが、50℃以下になると増殖しやすくなるため、調理後に室温で放置していると時間の経過とともに料理が冷めて菌が増えやすい温度になってしまいます。すると芽胞に守られていた菌は加熱後で他の競合菌が少なくなっているのもあり、瞬く間に増殖して食中毒の原因となってしまうのです。
ウェルシュ菌はカレーなどの煮込み料理、セレウス菌はチャーハンやパスタなどの米、小麦料理で注意が必要です。料理を鍋に入れたまま放置しないようにしましょう。
作り置きをしたいときは小分けにして冷蔵庫に入れるなど出来るだけ速やかに冷やすようにすると菌の増殖を防ぐことが出来ます。 - リステリア菌
リステリア菌は冷蔵庫の中(4℃以下の低温)でも生存・増殖が出来るため、加熱せずにそのまま食べる食品には注意が必要です。妊娠中に感染すると、お腹の赤ちゃんに影響が出てしまう可能性があります。
特に気を付けたいのは、加熱殺菌していないナチュラルチーズ、肉や魚のパテ、スモークサーモン、生ハムなどです。リステリア菌による食中毒は国内ではそれほど多くはありませんが、欧米では集団食中毒も発生しています。加熱すれば死滅するため、十分に加熱してから食べることでリステリア菌による食中毒は防げます。
このように加熱や冷蔵庫の中に入れていても生存・増殖する菌が日常には潜んでいます。
少し長くなりましので、「食中毒予防」について次回お話しをさせていただきます!!!