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BLOG第290回 骨粗鬆症は骨折だけではない!実は生命予後にも影響!? ① ~コロナ禍の外出自粛の影響で、骨が弱くなっていませんか~

2024.10.10

骨粗鬆症は骨折だけではない!実は生命予後にも影響!? ①
~コロナ禍の外出自粛の影響で、骨が弱くなっていませんか~

森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは!放射線課です。

 

放射線課のイメージといえばレントゲン。レントゲンといえば骨ですので、今回は骨の密度(骨粗鬆症)についてお話させていただきます。

 

≪骨粗鬆症とは≫
骨粗鬆症とは、骨が弱くなり、骨折の危険性が高まる病気です。骨密度が減っても、ほとんど自覚症状はなく、骨折して初めて痛みを感じます。日本では、約1300万人(男性約300万人女性約1000万人)が罹患していると推定されており、60代女性の3人に1人、70代女性では実に2人に1人が発症する身近な病気です1)
骨イラスト骨イラスト2

≪骨粗鬆症の原因 コロナ渦の外出・活動自粛も影響!?≫
骨密度減少の要因として加齢や食生活などがありますが、近年注目されている要因としてコロナ渦の外出・活動自粛が影響していることが示唆されています。

外出自粛

ただし、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)自体が骨粗鬆症増加に関連するという報告はありません。
コロナ渦の外出・活動自粛が影響している要因として、下記のものがあります。

  1. 運動不足
    外出制限や様々な活動自粛により、多くの人々が運動不足に陥りました。特に高齢者は運動の機会が減り、筋力や骨密度の低下を招いた可能性があります。
  2. 日光浴の減少
    自宅に閉じこもる時間が増えると、日光を浴びる機会が減少し、ビタミンDの生成が不足することがあります。ビタミンDはカルシウムの吸収を助けます。
  3. 健康管理の遅れ
    パンデミックにより、医療機関へのアクセスが制限されたり、定期的な健康チェックを避ける傾向が見られました。これにより、骨密度測定や骨粗鬆症の早期発見・治療が遅れることがありました。

 

「コロナ渦の外出・活動自粛は数年前で、今は活動しているよ!」

 

しかし、一度弱くなった骨は、すぐには強くなりません。自覚症状もありません。
回復には、年単位の長期的な視点での管理が必要です。
そのため、数年前のコロナ禍外出自粛の影響で、現在も骨粗鬆症が増加していることが懸念されています。
骨イラスト2

 

「骨がスカスカ。骨折に気をつけるよ!」

 

骨粗鬆症はこのくらいのイメージではないでしょうか。
実は65歳以上の女性で介護が必要となった原因で「骨折・転倒」は2位です(認知症についで)。
男女全体でも65歳以上の人で、認知症や脳血管疾患(脳卒中)、高齢による衰弱についで4番目に多くなっています2)
特に高齢者の大腿骨近位部(股関節骨折)や椎体骨折は、日常生活動作の低下や寝たきりに結び付きやすくなります。
大腿骨近位部の骨折は反対側の骨折のリスクが高いことや、術後半年から1年後に従来通りの歩行が可能のなる割合が50%程度との報告があります3)

 

骨粗鬆症は、骨折だけでなく寝たきりに結び付く非常に注意すべき病気であることがわかると思います。

骨粗鬆症2骨粗鬆症1

 

 

今回は「コロナ禍外出自粛が骨密度に与えた影響」についてお話しさせていただきましたが、少し長くなりましたので、次回「骨粗鬆症が生命予後に与える影響」についてお話させていただきます。

 

≪参考資料≫
1)骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版
2)内閣府「高齢社会白書」(2021年版)
3)日本骨折治療学会 骨折の解説