『糖代謝検査』について
森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは!検体検査課です。
すっかり食べ物がおいしい季節ですね。秋はついつい食べ過ぎてしまうのでとても悩ましいです…。
今回は健康診断でもおなじみの項目の『糖代謝検査』についてお話しさせて頂きます。
糖代謝検査は、糖尿病を発見するのに有用な検査で血液検査と尿検査があります。
いわゆる糖尿病の方は血液や尿の中に処理しきれない糖があふれてしまっている状態(=高血糖)になってしまっています。
血糖値とHbA1cの違いは?
一般的に血液検査でよく見る2項目の「血糖値(グルコース)」と「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」は糖の処理能力を示しています。
血糖値(グルコース)は血液の中のブドウ糖の濃度を示していて、食後の経過時間によって数値に影響が出ます。健常な方の食後血糖値は1~2時間値が最も高いとされています。
また、10~14時間空腹の状態が続くと血糖値は比較的安定するとされており、これを「空腹時血糖値」と言います。その為、外来受診時や健康診断では空腹時での血液検査が推奨されています。
当院でも採血検査のご予約時に朝食を抜いて頂く様にお願いしている方もいらっしゃるかと思いますが、この様な理由がある為、ご協力いただければと思います。
HbA1cは赤血球中のヘモグロビン(Hb)という血色素タンパク質が糖と結合している割合を示したものです。(割合なので血糖値と違い単位が%です)
HbA1cは過去1~2ヶ月の生活を反映すること、血糖値と異なり直前の食事の有無や内容に左右されないことから血糖、尿糖と並ぶ糖尿病治療モニターとして重要とされています。
注意が必要な基準は?
<空腹時血糖>
正常値:70~99mg/dL、境界型:100~125mg/dL、糖尿病型:126mg/dL
<HbA1c>
正常値:5.6%未満、境界型:5.6~6.4%、糖尿病型:6.5%以上
※境界型…糖尿病予備軍
空腹時血糖値が100mg/dL以上、またはHbA1cが5.6%以上の時点で「将来的に糖尿病を発症するリスクが高い状態」と言えます。また、以下に当てはまる方は糖尿病だけでなく動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞などの合併症のリスクも高まるため、特に注意が必要です。
- 健診で毎年血糖値やHbA1cが少しずつ上昇している
- 家族に糖尿病の方がいる
- 内臓脂肪型肥満(いわゆるメタボ体型)
- 高血圧や脂質異常症も併発している
高血糖を放置してしまうと…
血糖の異常高値が続くと糖尿病になる危険度が高くなります。
有名な症状として①口渇、②多飲・多尿、③体重減少などが挙げられますが、糖尿病は基本的に自覚症状がない非常に怖い病気です。
高血糖に気づけないままでいると、知らぬ間に血管が傷み、合併症を引き起こしてしまいます。腎機能が低下し、人工透析が必要となったり、失明、壊疽(えそ:皮膚や皮下組織などが死滅してしまい暗褐色や黒色に変色してしまう病気)による足や指の切断、心筋梗塞や脳梗塞など様々な病気を引き起こすのが糖尿病です。
糖尿病の発症や合併症は、早期発見できれば生活習慣の見直しや治療で防ぐことが可能です。糖尿病を防ぐために、定期的な健康診断や、体調が少しでも気になる方は病院を受診しましょう。人間ドックや健康診断を受けてらっしゃる方はぜひ前年の結果と比較していただいて最近の生活習慣を振り返る良い機会としてはいかがでしょうか?






