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BLOG第10回 コロナはペンキ

2020.06.15

コロナはペンキ

森下記念病院 感染対策室です。
誰もが初めての体験である新型コロナウイルス。
見えないウイルスとどう向きあえばいいのか、ある内科医が提案した考え方が話題です。
それは、ウイルスをペンキに例えることです。
この内容は、ウイルスをペンキに例えることで、冷静な対応を呼びかけようと考えた内科医・眞鍋葉子さんがフェイスブックに投稿した原稿が始まりです。

NHKでも取り上げられましたので、紹介させていただきます。

 

家から一歩外へ出たら

家から一歩外へ出たら、そこはすべて「ペンキぬりたての世界」だと思ってください。
電車の座席に座ったら、「あぁ今背中とお尻にごっそり塗りたてペンキがついたな」と思ってください。
エレベーターのボタンを押したら、「あぁ今指先にペンキがついたな」と思ってください。
感染している人のせきやくしゃみ は、ペンキのスプレーだと思ってください。
その人から、プシュとスプレーされたところには、ペンキがついています。
くしゃみを手のひらにした人が、その手で触ったところも、ペンキがついています。

ドアノブ
エレベーターのボタン
ATMのタッチパネル

そこを触ったあなたの手に、ペンキがつきます。

 

でも、ペンキは消すことができます

でも、安心してください。このペンキは、数時間から数日、触らずに放置すると、自然に消えるペンキです。
触ってしまった場合でも、石けんやアルコールなどで、ペンキを消してしまえばいいのです。
慌てる必要はありません。慎重に行動さえすれば、感染のリスクは下げることができるのです。

 

目標は、鼻や口にペンキをつけない事

大事なことは、自分の手という危険物から、自分の肺への入り口である「鼻と口を守る」ことです。
 目標は、鼻や口にペンキをつけない事。
鼻や口を触らないためにはマスクをしましょう。せきやくしゃみをまき散らさないためにも有効です。
また、目から感染したと考えられるケースも報告されています。ペンキのついた手でうっかり目を触らないようにしましょう。

 

換気の悪い部屋は“ペンキのミスト”が

最も危険な場所は、換気の悪い密室。
そこは、ペンキのミスト噴霧器が設置された部屋だと思って下さい。
鼻や口を触らなければいい、というレベルではありません。
換気の悪い密室は、今、「最も危険な場所」と言っても過言ではありません。

 

食事の時も注意

さらに気をつけなければならないのが、マスクを外している、食事の時です。
自分の手にペンキがついていないかどうか確認しましょう。
食べる前に、手を洗いましたか?
せっかく手を洗っても、マスクを外す時に、マスクの外側を触ると、また手にペンキがつきます。
外す時は、ペンキのつきにくい、耳の後ろのゴムを持って外しましょう。

  • 周囲2メートルに人はいませんか。
  • 部屋の換気は、十分ですか。

そうでなければ、その食べ物には、ペンキがついている可能性があります。

 

帰宅したら 家で安心するために

さて、あなたは家に帰ってきました。
家の中にペンキを持ち込まないために、次のことを心がけましょう。
カバンと上着は、玄関に置いておきます。
風呂場に直行して、髪の毛や顔、手に付いたペンキを落としてしまいましょう。

スマホも忘れないで

さらに、気を付けなければならないのが「スマホ」です。
スマホも、アルコールなどで消毒するか、ファスナー付きの透明な袋に入れて使えば、安全です。
これで「家の中にペンキを持ち込んでいない」とリラックスすることができます。

 

情報を発信した眞鍋医師の思い

恐怖を取り除きたいという思いがあります。コロナに感染してしまった後の治療法は未知です。
しかし、コロナを予防するための方法は、実は未知でもなんでもない、何十年も前から実践されてきた既知の知識です。
「知識があれば、リスクを着実に下げることができる」ということを伝えたいと思いました。
単に感染のリスクを伝えるのではなく、身を守るにあたって何がゴールで、それを達成するにはどうすればいいのかを提示することで、恐怖を取り除いて、否認から前向きな行動へと移れる方が1人でも多くなればいいと思います。
感染者への差別や風評被害などの話題にも心を痛めています。差別を行う人の心の中には、意地悪な気持ちよりも前に、恐怖があると思います。
「こんなに怖いから、気をつけなさい!」ではなく、「気をつければリスクが下がるんだよ、怖くないよ、だからあきらめないで!」というメッセージを込めたつもりです。

 

ちまたにはたくさんの情報があふれていて、何を信じたらよいのかわからないことも多いと思います。
また、それぞれ発表されていることも複雑でよくわからないことも多いのが現状です。
最低限でも感染に対する正しい基本的な知識を持っていれば応用することができます。
正しい知識をもって未知のウイルスと戦っていきましょう。

 

引用:https://www3.nhk.or.jp/news/special/miraiswitch/article/article42/