スタッフブログ

STAFFBLOG 相模原市東林間 森下記念病院のスタッフによるブログです STAFFBLOG 相模原市東林間 森下記念病院のスタッフによるブログです

免疫力を上げる食事

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、こんにちは。
栄養課より新型コロナウイルスに負けない身体作りのために、食事による免疫力アップについてご紹介します。

 

たんぱく質とビタミンA

 筋肉や、血液、皮膚、粘膜、免疫細胞など私たちの身体を構成するあらゆるものはたんぱく質からできています。
たんぱく質が不足すると皮膚や粘膜が弱くなり、免疫力が下がってしまいます。
またウイルスが真っ先に入る場所である鼻やのどの粘膜を強くするには、ビタミンA(β-カロテン)が必要になります。
ですから、毎食たんぱく質を多く含む食品とビタミンAが豊富な食品を取り入れてみましょう。

たんぱく質が豊富な食品 → 肉類・魚介類・卵・大豆製品・乳製品など

ビタミンAが豊富な食品 → 人参・ブロッコリー、ほうれん草・かぼちゃなどの緑黄色野菜
(脂溶性なので油と一緒に調理すると吸収しやすくなります) 

 

発酵食品と食物繊維

 腸は食物の栄養素を吸収しつつ、食物を通じて体内に侵入する外敵(ウイルス、細菌など)をブロックする全身の免疫システムの要です。
腸内で乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が腸内環境を整えることによって、免疫細胞の働きを高めていきます。
また、腸内環境を整える上で、食物繊維を一緒に摂ることが必要になってきます。
 発酵食品 → ヨーグルト・チーズ・納豆・甘酒・ぬか漬け・キムチなど
 食物繊維 → 野菜や果物、海藻類・オリゴ糖
腸内環境をよくする食事例
 バナナヨーグルト・・・バナナの水溶性食物繊維が乳酸菌やビフィズス菌のエサになり、善玉菌をパワーアップ!
 オクラ納豆  ・・・ 発酵食品に水溶性食物繊維を加えて。
 オリゴ糖 ・・・ビフィズス菌や乳酸菌と水溶性食物繊維を食べると、腸内環境の改善に役立ちます。

コロナはペンキ

森下記念病院 感染対策室です。
誰もが初めての体験である新型コロナウイルス。
見えないウイルスとどう向きあえばいいのか、ある内科医が提案した考え方が話題です。
それは、ウイルスをペンキに例えることです。
この内容は、ウイルスをペンキに例えることで、冷静な対応を呼びかけようと考えた内科医・眞鍋葉子さんがフェイスブックに投稿した原稿が始まりです。

NHKでも取り上げられましたので、紹介させていただきます。

 

家から一歩外へ出たら

家から一歩外へ出たら、そこはすべて「ペンキぬりたての世界」だと思ってください。
電車の座席に座ったら、「あぁ今背中とお尻にごっそり塗りたてペンキがついたな」と思ってください。
エレベーターのボタンを押したら、「あぁ今指先にペンキがついたな」と思ってください。
感染している人のせきやくしゃみ は、ペンキのスプレーだと思ってください。
その人から、プシュとスプレーされたところには、ペンキがついています。
くしゃみを手のひらにした人が、その手で触ったところも、ペンキがついています。

ドアノブ
エレベーターのボタン
ATMのタッチパネル

そこを触ったあなたの手に、ペンキがつきます。

 

でも、ペンキは消すことができます

でも、安心してください。このペンキは、数時間から数日、触らずに放置すると、自然に消えるペンキです。
触ってしまった場合でも、石けんやアルコールなどで、ペンキを消してしまえばいいのです。
慌てる必要はありません。慎重に行動さえすれば、感染のリスクは下げることができるのです。

 

目標は、鼻や口にペンキをつけない事

大事なことは、自分の手という危険物から、自分の肺への入り口である「鼻と口を守る」ことです。
 目標は、鼻や口にペンキをつけない事。
鼻や口を触らないためにはマスクをしましょう。せきやくしゃみをまき散らさないためにも有効です。
また、目から感染したと考えられるケースも報告されています。ペンキのついた手でうっかり目を触らないようにしましょう。

 

換気の悪い部屋は“ペンキのミスト”が

最も危険な場所は、換気の悪い密室。
そこは、ペンキのミスト噴霧器が設置された部屋だと思って下さい。
鼻や口を触らなければいい、というレベルではありません。
換気の悪い密室は、今、「最も危険な場所」と言っても過言ではありません。

 

食事の時も注意

さらに気をつけなければならないのが、マスクを外している、食事の時です。
自分の手にペンキがついていないかどうか確認しましょう。
食べる前に、手を洗いましたか?
せっかく手を洗っても、マスクを外す時に、マスクの外側を触ると、また手にペンキがつきます。
外す時は、ペンキのつきにくい、耳の後ろのゴムを持って外しましょう。

  • 周囲2メートルに人はいませんか。
  • 部屋の換気は、十分ですか。

そうでなければ、その食べ物には、ペンキがついている可能性があります。

 

帰宅したら 家で安心するために

さて、あなたは家に帰ってきました。
家の中にペンキを持ち込まないために、次のことを心がけましょう。
カバンと上着は、玄関に置いておきます。
風呂場に直行して、髪の毛や顔、手に付いたペンキを落としてしまいましょう。

スマホも忘れないで

さらに、気を付けなければならないのが「スマホ」です。
スマホも、アルコールなどで消毒するか、ファスナー付きの透明な袋に入れて使えば、安全です。
これで「家の中にペンキを持ち込んでいない」とリラックスすることができます。

 

情報を発信した眞鍋医師の思い

恐怖を取り除きたいという思いがあります。コロナに感染してしまった後の治療法は未知です。
しかし、コロナを予防するための方法は、実は未知でもなんでもない、何十年も前から実践されてきた既知の知識です。
「知識があれば、リスクを着実に下げることができる」ということを伝えたいと思いました。
単に感染のリスクを伝えるのではなく、身を守るにあたって何がゴールで、それを達成するにはどうすればいいのかを提示することで、恐怖を取り除いて、否認から前向きな行動へと移れる方が1人でも多くなればいいと思います。
感染者への差別や風評被害などの話題にも心を痛めています。差別を行う人の心の中には、意地悪な気持ちよりも前に、恐怖があると思います。
「こんなに怖いから、気をつけなさい!」ではなく、「気をつければリスクが下がるんだよ、怖くないよ、だからあきらめないで!」というメッセージを込めたつもりです。

 

ちまたにはたくさんの情報があふれていて、何を信じたらよいのかわからないことも多いと思います。
また、それぞれ発表されていることも複雑でよくわからないことも多いのが現状です。
最低限でも感染に対する正しい基本的な知識を持っていれば応用することができます。
正しい知識をもって未知のウイルスと戦っていきましょう。

 

引用:https://www3.nhk.or.jp/news/special/miraiswitch/article/article42/

医療機関の経営も大変な時期ですが

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、院長です。

 

新型コロナウイルス感染の拡大から緊急事態宣言が発令し、経済への影響は皆様の周知のとおりであり、
様々な業界の経営状況は悪化しています。
医療機関における経営状況も、マスクの値段高騰をはじめとする感染対策費用の増加、検査や手術数の減少、
外来受診者数の減少など、マイナスの要素が多く対応に追われている状況です。
当院においても少なからずこの影響を受けており、患者様に安全な医療を安定して提供し続けることができるよう、対応策を考えています。

 

このような状況下で夏の賞与に関しても、朝日新聞デジタルの記事
賞与が3分の1「泣きそう」 医療者、コロナで待遇悪化
https://news.yahoo.co.jp/articles/319e921e5e4e3de0cc77d1a214989b93383db2fc
のように捻出が難しくなっている医療機関が多くなっているようです。

 

昨年度、当院では私が院長職を引継ぐにあたり、新たな体制や方向性を打ち出しました。
そして、スタッフの頑張りのおかげで多くの変革により、道半ばではありますが、
よりよい医療を患者様に提供できる体制を整えてきました。
当院では、この昨年度のスタッフの努力を評価するべく、この夏の賞与支給率を前年度より増加させます。
当院の経営状況に関しても、前述したように新型コロナウイルスの影響を受けておりますが、
院長・理事長の報酬と賞与をカットすることで、スタッフの賞与支給率増加を実現できるように調整しています。

 

スタッフがいきいきと働くことが出来る環境を作ることが、当院の理念のひとつである“患者様へ温かい医療を提供する”ことに不可欠であると考え、この苦難な状況のなかでも引き続き頑張っていきたいと思います。

 

 

骨密度と骨質

森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様。
こんにちは。放射線科です。

 

緊急事態宣言は解除されましたが、東京アラート発動中と未だ気を抜けない状況であり、
ステイホームが現在も呼びかけられております。
家で閉じこもっているというのは、本当にストレスが溜まりますよね。
私を含めた中高年のオヤジたちは家でゴロゴロしていると粗大ゴミ扱いされるので肩身の狭い思いをしています。

 

ところで、こんなに運動もせずにいたら筋肉減少、脂肪増加、骨も脆くなってくるのではと心配になります。
今回は、私たち放射線科が骨の強さを測定する仕事をしている関係上、
骨密度について少しばかりお話ししようかと思います。

 

以前は骨粗しょう症というのは、骨密度が低下して骨折しやすくなる病気とされていたので、
予防にあたっては「骨密度」を中心に考えられてきました。
しかし、骨密度が正常範囲であるにもかかわらず、骨折リスクが高い患者さんがいることがわかり、
その原因を調べると、人によって「骨質(こつしつ)」に違いがあることが明らかになってきました。
つまり骨の強さは「骨密度」だけじゃなく「骨質」も大切なんです。

 

骨粗しょう症の定義は
「骨強度が低下し、骨折しやすくなる骨の病気」
と改められ、「骨強度」には骨密度が70%、「骨質」が30%関係していると説明されるようになりました。
つまり骨粗しょう症は、骨密度の低下と骨質の劣化、その両方が影響しあって骨折リスクが高まる病気といえます。

 

「骨」といえばカルシウムを連想しがちですが、骨の体積の50%はコラーゲンなんです。
仮に骨を鉄筋コンクリートの建物とすると、カルシウムはコンクリートで、コラーゲンはコンクリート内に埋まっている鉄筋となります。
鉄筋(コラーゲン)の強さを左右するのは、鉄筋同士をつなぎとめるコラーゲン架橋で、これはいわば梁(はり)の役目をして、建物全体の強さにまで影響を及ぼしています。
さらに、このコラーゲン架橋には「善玉架橋」と「悪玉架橋」があり、悪玉架橋が増加すると、コラーゲン同士のつなぎ止めが弱くなり、しなやかさが失われ、硬くてももろい、折れやすい状態となってしまいます。

それに加えて骨を作る“骨芽細胞”と骨を壊す“破骨細胞”がお互いに協調し合って働くことにより
骨の構造がバランス良く綿密に作られています。
このバランスが崩れたりすると骨の構造が破綻し始めます。

悪玉架橋は加齢とともに増えるほか、糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病によっても増えることが分かっています。
こうした生活習慣病の患者さんでは、骨密度検査で正常に近い結果が出ても骨折リスクが高いことがあります。

 

それから食事のバランスもあります。

ステイホームで外出できず、食事内容も単調になっていることと思います。
良質なタンパク質はカルシウムの吸収を助け、骨強度にいい影響を及ぼします。
ただし、たんぱく質のとりすぎにも問題があり、抱えてるご病気によっては制限もあるため、
できるだけご自身のお身体に即したバランスのいい食事が大切です。

 

そして運動も大切です。

スポーツクラブに行かなくとも、骨も筋肉もご自宅で鍛えることは十分可能です。
自分の体重を上手く活用したスクワットなどは十分な効果が期待できます。
(詳しくは今後のリハビリテーション部門の担当回でお伝えします)
ちなみに水泳や水中歩行などは浮力が働くため、筋肉を鍛えるためにはいいのですが、
骨を丈夫にする目的にはやや不向きです。
まずは「ラジオ体操第一」からやってみましょう。
本格的にやると結構キツいですよ。私は第二で挫けました。

 

丈夫な骨を維持するために、是非コツコツと手軽にできるトレーニングや、バランスの良い食事など意識して生活を送りたいものです。

 

 

睡眠とCKD(慢性腎臓病)の関係

 

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、院長です。

 

前回の私のブログで睡眠と感染症の関連についての記事を紹介しました。
そこで、今回は当院が注力している腎臓に関連した記事として、

CKD(慢性腎臓病)発症のリスクと睡眠の関係についての論文
Sleep and the Risk of Chronic Kidney Disease: A Cohort Study. J Clin Sleep Med. 2019 Mar 15;15(3):393-400. doi: 10.5664/jcsm.7660.

をご紹介します。

 

この研究はCKDの発症に対する睡眠の影響について、今までの研究が少なかったことを背景に、
大規模コホート研究として睡眠とCKDの発生率との関連を調査することを目的として行われました。

 

1996年から2014年の間に、20歳以上のCKDのない194,039人の台湾人を対象としています。
CKDは、eGFRが継続して60 mL/min/1.73 m2未満と定義されています。
睡眠時間と睡眠の質に関する情報はアンケートから取得され、
時間と質に関して併合した睡眠スコア(最低2~最高9点)も作成されています。
統計学的に睡眠時間、睡眠の質とCKDの発症について調査されました。

 

睡眠時間に関して、4時間未満、4〜6時間、または8時間以上睡眠した参加者は
睡眠時間が6〜8時間だった参加者と比較して、CKDを発症するリスクが高いという結果でした。
また、睡眠の質に関しては、中途覚醒、寝つきが悪い、または睡眠薬または鎮静剤を使用していた参加者は、
良質な睡眠が得られた参加者と比較してCKD発症のリスクが高い結果でした。
さらに、睡眠スコアが4未満、4〜6の参加者は、6より高い睡眠スコアの参加者と比較して、
CKDのリスクは高いという結果でした。

 

本研究では、BMI、高血圧、糖尿病、心血管疾患などCKDのリスクとなる他の交絡因子を排除しても
同様に睡眠の時間と質がCKD発症のリスクとなる結果を得られており、睡眠とCKDの関連が強固であることが示されました。
睡眠とCKD発症のリスクを結びつけるメカニズムは明らかではありませんが、睡眠障害が交感神経系の活性化をもたらすこと、睡眠障害による全身性炎症が糸球体内皮障害とタンパク尿を引き起こす可能性があることが示唆されているようです。

 

この研究からは、不十分な睡眠時間もしくは長すぎる睡眠時間、そして睡眠の質が悪いとCKD発症のリスクが高くなることがわかりました。
したがって、睡眠を改善してCKDを予防するための戦略を立てるときは、睡眠時間と睡眠の質を考慮する必要があるようです。

 

睡眠に関しては今回のCKDとの関連以外にも、前回の感染症や、高血圧や腫瘍など多くの病気との関連が報告されています。
私自身にも言えることですが、自粛生活を経て、良い睡眠のリズムを確立できたのであれば、今後も健康のために維持していきたいところです。

睡眠と感染症の関係

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、院長です。

 

緊急事態宣言は先日解除されましたが、
外出自粛の生活をしているうちに私は
早寝して十分な睡眠時間を確保する
生活リズムになっています。

以前から「風邪をひかないように早く寝よう」
という習わしを聞いたことがあるように、
睡眠は感染予防に有効であると考えられ、
多くの方はそのような行動をとった
経験があるのではないでしょうか。

 

しかし、実際に
「睡眠と感染の関連について科学的に検討した報告」があるのをご存知ですか?

 

今回はそんな日常の行動に関わる、睡眠と感染症の関連についての2016年の研究
Association of Insufficient Sleep With Respiratory Infection Among Adults in the United States. JAMA Intern Med. 2016 Jun 1;176(6):850-2.
をご紹介します。

 

そもそも睡眠障害または習慣的な睡眠不足にある人の割合はアメリカで5000-7000万人いるのですが、
そうした睡眠不足がどれくらい病気のリスクに関わっているかについては未だよくわかっていない部分も多いのです。
基礎研究や実験の範囲では、睡眠不足が感染症に対する抵抗力となる重要な免疫系に悪影響を及ぼすことを示すデータはありますが、実際にヒトで追跡調査を行った研究というのは多くありませんでした。

 

そこで、この研究では、睡眠時間と風邪、インフルエンザや肺炎を含む感染症の発生確率との関連を調べています。

 

アメリカのNational Health and Nutrition Examination Surveys (NHANES)上で2005年から2012年に登録されていた米国人22,726人(平均年齢46.2歳)を対象としてデータを抽出し、分析しています。平日の典型的な睡眠時間、医師から睡眠障害と診断されたことがあるか、睡眠障害があることを医師に相談したことがあるか、過去30日間の風邪、インフルエンザや肺炎を含む感染症に罹患したかの有無について統計的手法を用いて関連性が検討されています。

 

結果としては、以下の通りです。まず、調査対象者の睡眠時間の割合は、1晩で5時間以下が13.6%、6時間前後が23.0%、7~8時間が56.3%、9時間以上が7.1%でした。睡眠障害の診断を受けたことがある人は7.1%で、医師に睡眠障害があると相談したことがある人は25.0%でした。

 

対象者において、睡眠時間が7-8時間の人と比較して、
5時間以下の人は過去30日間に風邪や感染症にかかった割合が高いことがわかりました。

一方、睡眠時間が6時間前後、9時間以上の人には、
風邪や感染症にかかりやすい関連性は見いだされなかったということです。

その他、睡眠障害と診断を受けたことがある人や、医師に睡眠障害を報告したことがある人も、
風邪や感染症を報告する可能性が高い傾向があることがわかりました

 

ここで気を付けたいのは、この研究は、既存のデータから抽出して行われたものであり、
適切な睡眠時間をとれば風邪が予防できる、という因果関係を言い切ることのできるデータではないということです。

 

言い換えれば、
「いつも5時間しか寝てないよ!」という人が
「風邪や感染症を予防するために今日から8時間寝よう!」
と思って実行した際に、必ずしもそれで予防できるわけではない、
ということです。

 

「5時間しか寝られない生活をしている人」は、きっとそれだけ仕事や日々の生活が忙しいでしょうし、
その分、外と他人と接触して活動しているかもしれません。
反対に、「毎日しっかり7-8時間寝られている人」というのは、比較的時間に余裕がある生活をできていることでしょう。

 

体感的にはやはり普通の人は睡眠不足になると仕事のパフォーマンスも落ちますし、
なんだか体調を崩しやすいような気がします。
そういう意味では、「なるべく風邪や感染症にかかりたくない」という方が
十分な睡眠時間をとるということは妥当な戦略であると思います。

 

新型コロナウイルス感染対策の一環にも十分な睡眠は提示されています。
十分な睡眠を確保して、体力を維持して健康な生活を送ることを心がけていきたいと思います。

感染と放射線といじめと

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、

こんにちは。

今回は放射線科からお届けいたします。

 

 

昨年末に中国武漢で発生した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、

瞬く間に世界中で流行してしまいました。

 

しかし、歴史を見ても人類は世界的な感染症を何度も経験しています。

 

例えば、13世紀には十字軍などの移動で広がったハンセン病は、

感染力は決して高くないものの、当時は感染経路が解からず遺伝病と誤解されたり、

感染者は人里離れた場所へ隔離されたり、療養所に入れられたりしました。

 

14世紀にはペストがモンゴル軍や交易によって広がり、感染が広がると、

ペストはユダヤ人が井戸に入れた毒薬が原因だとのデマが流れ、

南ドイツを中心にユダヤ人の迫害が起こりました。

 

コレラ、黄熱病、梅毒、結核など時代により、いろいろな感染症が発生しましたが、

感染症が広がると、人が持っている差別や偏見が浮かび上がります。

 

感染症は人の理性を奪います。

それは現在においても同様です。

 

最前線で奮闘している医療従事者を称える人々がいる反面、

その家族や本人を誹謗中傷する人々もいます。

人間とはなんなのでしょうか。

 

感染は、三つに分けられると思います。そしてそれは人々を蝕んでいきます。

  1.  人体への感染:発熱・倦怠感・痛み・呼吸苦
  2.  心への感染:不安・恐れ・恐怖・祈り
  3.  社会への感染:偏見・無知・差別・猜疑心・迫害・暴力・恐怖心の伝播

 

実は、コロナウィルスより人間の方が恐ろしい存在なのかも知れません。

 

 

東日本大震災の福島原発事故で被災し、疎開した子供たちが放射能や被曝という

心無い言葉で虐められたことは記憶から消えていません。

虐めた人たちは忘れても虐められた人たちは決して忘れません。

でも、危険と分かっていても、未来の日本のためには、

原発の処理だって誰かがやらなければなりません。

 

宇宙戦艦ヤマトの主題歌に

「誰かがこれをやらねばならぬ 期待のひとが俺たちならば」

(作曲:宮川 泰 作詞:阿久 悠)

という歌詞があります。

 

危険を顧みず原発処理の最前線に立つ人たち、

COVID-19に立ち向かい一人でも多くの人を助けようとしている医療従事者たち、

そして心配をしながらもそれを支え励ます友人や家族。

 

みんな頑張っています。

どうか皆さんも応援してください。

 

 

自粛生活頑張りましょう

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、こんにちは、院長です。

 

4月7日に発令された緊急事態宣言のなか、外出を自粛され今までの生活と全く異なる日常を過ごされている方が

多いと思います。

私がこのブログを書いている4月29日時点ではまだ緊急事態宣言の継続か否かについて発表はされていません。

現在、政治家と専門家が必死に政策決定についての検討をしていることと思います。

 

さて、政策決定とまではいきませんが、私も院長職を務めていると、ほぼ毎日何かしらの意思決定を下しています。

もちろん院長でなくても、私たちは日常生活のなかで大きな判断から些細なことまで、色々な意思決定を繰り返しています。

この意思決定についてですが、私がアメリカで経営学修士を取得する際に“Managerial Decision Making”という授業を受講し意思決定について、体系的に学ぶ機会がありました。

全16回の授業内容をすべて紹介することは難しいですが、内容としてはベイズの定理という統計学を用いた方法、Even swaps法という合理的なトレードオフによる意思決定、直感を使ってよいケース、等々多岐にわたる考え方を学びました。

しかし、この授業のなかで、とても基本的で重要なことは”何が問題なのか、何のためにその意思決定をする必要があるのか“

をしっかりと定義することであると紹介されました。

例えば、あるアパートでエレベーターが遅いという苦情が管理会社に寄せられた場合、この解決策としてエレベーターのモーターを取り換える、エレベーターをもう一台取り付けるなどの解決策を考案して意思決定することが考えられます。

しかし、この”エレベーターが遅い“という問題を熟考すると”エレベーターの待ち時間が煩わしい“ということに起因していることにたどり着ければ、エレベーターの前に鏡を取り付ける、音楽を流す、など費用を抑えつつ問題を解決できるのです。

たしかに、問題に直面した時に、確実に時間をかけて”何が問題なのか“を考えることよりも、どの選択肢を取るべきかということに悩みすぎていることは多かったことを思い出しました。

 

緊急事態宣言の延長か否かに関して、

“何が問題なのか、何のためにその意思決定をする必要があるのか”と考えると、

感染者を増やさないこと、病床数が足りなくなること、休業補償に関すること、経済を再開する必要があること、

など様々なポイントが挙げられるかと思います。

全国民が納得する選択を取ることは難しいと思いますが、少なくとも、自粛生活を頑張っている、

医療を含めた必要不可欠な仕事を頑張っている方々に対して、少しでも未来に希望の持てるような発信を

期待したいと思います。

 

 

新型コロナウイルス感染拡大で懸念される医療崩壊について

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、こんにちは、院長です。

 

今回は新型コロナウイルス感染拡大で懸念される医療崩壊について、当院の体制を含めてコメントさせて頂きます。

 

医療崩壊とは「安定的・継続的な医療提供体制が成り立たなくなる」状況のことで、今回の新型コロナウイルス感染症に関しては医療を提供するために必要な人や物資が絶対的に不足することを指します。それでは医療崩壊が起こるとどうなるのでしょうか?

 

①感染者用の病床が足りなくなる

  指定感染症に指定された新型コロナウイルス感染症は 5 段階のうち二類感染症として扱われています。本来、指定感染症に感染した患者は感染症指定医療機関にある感染症病床へ入院しますが、平成31年4月1日時点で条件を満たす病床数は全国で 1,800 床ほどしかありません。国が主導となって一般病床でも新型コロナウイルス感染症患者を受け入れができるような体制の調整を始めていますが、日本医師会総合研究機構が算出した東京都のみのピーク時予測感染者数 (入院患者) である約 20,000 人には及んでいません。また、人口あたりの重症患者を受け入れる集中治療室 (Intensive Care Unit: ICU) の数も欧米に比べ少なく全国で 6,500 床程度であり、ピーク時にはこの数を超える重症患者が出るおそれがあります。軽症者であれば指定されたホテルで療養するという試みも既に始まっています。

 

②医療機器が足りなくなる

  新型コロナウイルス感染症は呼吸器感染症であり、自力で十分な酸素を取り込めなくなった場合に人工呼吸器を使用することがあります。この人工呼吸器の数が世界的に不足しており、医療機器メーカーだけでなく、自動車や重工業メーカーも製造に着手しています。また、人工呼吸器では対応できなくなった場合、肺でのガス交換を介さずに血液中へ直接酸素を供給し二酸化炭素を除去する人工心肺装置を使用しますが、この装置も不足することが懸念され国内でも増産する見通しとなっています。

 

③医療従事者が足りなくなる

  新型コロナウイルスに感染した人や感染した疑いがある人は病院へ行きます。つまり、病院にいる医療従事者は新型コロナウイルスに感染するリスクが必然的に高くなります。そこで、医師や看護師をはじめとする医療従事者の多くが新型コロナウイルスに感染してしまうと十分な医療が提供できない、すなわち医療崩壊に陥ることになります。

 

④十分な治療が受けられないケースがでてくる

 イタリアなどの感染者の急激な増加を認めている国や地域では、実際に医療崩壊が起こってきています。その爆発的に増加する重症患者数に対して、集中治療を行うか・人工呼吸器を使用するかどうか判断するための倫理指針も出されています(Ezekiel J Emanuel et al., (2020) “Fair Allocation of Scarce Medical Resources in the Time of Covid-19” N. Engl. J. Med., In press. doi: 10.1056/NEJMsb2005114)。アメリカでもイタリアの事例に沿った治療方針に従っているのが現状です。今後、日本でも感染者数が増え続けると欧米のように命の選択をせざるを得ない状況がやってくるかもしれません。

 

それでは医療崩壊を防ぐために私たちにできることは何でしょうか。

①「外出自粛」の重要性

新型コロナウイルス感染症から自分を守るだけでなく、これ以上感染者数を増やさないためには外出は最低限にとどめることが重要となります。

 

②予防の意識を高めること

マスクは正しく着用する・手洗いうがいをする・不特定多数の方が触れる場所はこまめに消毒するなどを徹底すれば十分な予防効果が得られます。ちなみにマスクを着けるときは鼻から顎まできちんと覆い、鼻の形に合わせてワイヤーを折り、現在枯渇している資源を正しく、有効に使うことが大切です。

 

さいごに

この未知のウイルスには確固たる情報の蓄積がまだまだ不足しており、情報が錯綜し世界中が手探りで対応している状況です。このままの状況が続く限り、経済が停滞することで大きな損害が出ることは明白であり、自粛を続けるか、自粛を解除して経済を回すかの論争も聞かれ始めました。もちろん、このウイルスへの対応策に明確な答えがない以上は、今のところこの議論にも答えはありません。しかし、現在の緊急事態宣言が出ている現状においては、感染拡大防止に対してやれるべきことは徹底してやることに尽きるのではないかと思います。当院においても対応策(当院の新型コロナウイルス対策についてはこちら→https://www.morishita.or.jp/wp/info/2020/04/87)を徹底していきます。そして、現在当院では感染された方、感染を疑う症状の方の診察や治療は行っておりません。これは、国が調整を始めている感染者用の病床数確保の拡大ということに関しては協力できていないのが実情です。しかし、当院には腎機能が低下している患者様が多く、その中でも透析をされている方は通院を見合わすことはできません。透析を受けている患者様に感染した場合、重症化しやすいこと、そしてさらなる感染者の拡大が懸念されており、現在の限られた医療資源と病床数を圧迫してしまう可能性が高いと言えます。このことから、当院では新型コロナウイルス感染者の診療という直接的な協力はできませんが、感染者を、そして重症感染者を増やさないという側面で、医療崩壊に至らないように協力していきたいと考えております。

電話面会サポートの紹介

森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様、こんにちは。

 

今回は当院が新型コロナウイルス対策として行っております、

「電話面会サポート」についてご紹介いたします。

 

当院では現在、新型コロナウイルス感染対策としまして、基本的に一切の面会を禁止としております。

その中であっても、ご自身だけでは電話が困難な入院患者様に対しまして、病棟スタッフの補助を行いながら、また、当院の電話をご利用いただき、ご家族様との電話での会話が出来る体制を整えました。
診療体制の関係上、ご利用は3階療養病棟の入院患者様に限らせて頂きます。時間などいくつか条件はございますが、可能な限り柔軟な対応をしていきますので、ご希望の方はスタッフにご相談ください。

 

詳細はこちら↓↓↓

お一人での電話が困難な3階療養病棟入院患者様との電話面会サポートについて

 

その他にも当院へ何かご要望などございましたら、

お問い合わせフォームhttp://www.morishita.or.jp/wp/contactへご連絡ください。

可能な限り対応できるよう検討させていただきます。