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STAFFBLOG 相模原市東林間 森下記念病院のスタッフによるブログです STAFFBLOG 相模原市東林間 森下記念病院のスタッフによるブログです

みんなの癒し

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、こんにちは。
外来処置室です。

 

梅雨のジメジメする日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか?
この時期は、外を歩いていると道端に咲く綺麗なアジサイをよく見かけます。
アジサイ綺麗ですよね~ 

実は外来処置室にもアジサイがあるんです!!!

 

外来飾り1
外来飾り2

待ち時間に少しでも皆様の癒しになればと思い、季節に合わせて飾り物を作っています。
これを見て、不安な気持ちなどが和らげば幸いです。
皆様気づいているかな?次をお楽しみに(*^-^*)

 

内臓脂肪と皮下脂肪

森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様。
こんにちは。放射線科です。

 

外出自粛や在宅勤務が続く生活のなかで、家の中にこもっていると楽しみが食べることばかりになってしまうのは私だけでしょうか?
さらに運動不足が重なり、体重計を横目に見ながらゴロゴロする今日この頃。
こんな日が続いていると、やっぱり気になるのが内臓脂肪と皮下脂肪。
いずれも体脂肪のことですが、蓄積する場所が異なります。
糖尿病や高血圧などの生活習慣病を引き起こすリスクが高いのは、「内臓脂肪」です。
中年になると基礎代謝が落ちてくるので供給と消費のバランスが悪くなり、なかなか消費せずに貯蓄ばかりです。

 

人間の身体の2割前後は、脂肪でできています。
例えば、体重70kgで体脂肪率が20%の人なら、体脂肪量は14kg。その中で大半を占めるのが、皮下脂肪です。一方の内臓脂肪は、肝臓などの周りにべったりとついているようなイメージがありますが、実際は胃や腸の周りにある大網脂肪や腸間膜脂肪がその代表です。
女性は皮下脂肪が多く、男性は内臓脂肪がつきやすいことがわかっています。

 

生活習慣病と強く関連しているのは「内臓脂肪」です。
内臓脂肪と皮下脂肪の大きな違いは代謝の特性です。内臓脂肪は皮下脂肪に比べると、個々の脂肪細胞が小さく代謝活性が高いため、脂肪の合成や脂肪の分解が非常に活発におこなわれます。なので内臓脂肪は食べ過ぎによって増えていきます。逆に食事を制限した場合は、まず内臓脂肪から消費されます。つまり溜まりやすく取れやすい。取れやすいのですが、活発な脂肪細胞組織が増えれば、当然それに伴って周りの環境にも大きな影響を与えます。

よく「内臓脂肪」は普通預金、「皮下脂肪」は定期預金なんてことをいいますが、本物の預金になるならどちらも歓迎なんですが、そんなこと言っていられませんよね。

皮下脂肪については、外部からの圧力に対するクッションや、寒さ対策の役割を担っているので、ある程度は必要だと思いますが、皮下脂肪が異常に増えると見た目だけでなく膝や腰など整形外科的疾患のリスクが高まってきますのでお気をつけ下さい。

 

内臓脂肪の量は、一般的には腹部CTスキャンを用いて測定されます。
当院でも自費にてファットスキャン検査(CT検査)を行うことができます。
内臓脂肪面積、つまり身体の断面積に占める脂肪の面積が100cm2を超えると内臓脂肪型肥満となります。
これは、体積に換算すると3kg、つまり1.5ℓのコーラのペットボトルが2本分の内臓脂肪が蓄積していると考えればわかりやすいでしょう。
ウエスト周囲径でいうと、男性なら85cm、女性なら90cmが内臓脂肪面積100㎝に相当します。
しかし、ウエスト周囲径だけでは皮下脂肪が多いのか、内臓脂肪が多いのかの区別はつきません。

 

お腹がポッコリ出てきて気になる方は、内臓脂肪が異常に蓄積している可能性がありますので、ファットスキャン検査をして、内臓脂肪の蓄積具合をチェックしてみてはいかがでしょうか。

生活スタイルと運動

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、リハビリテーション室です。

 

先日、放射線科の更新で運動の話が紹介されましたので、今回リハビリ部門として少し掘り下げた話をと、バトンを引き継ぎました。

 

コロナ禍の外出自粛で運動不足という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
運動不足の弊害としては、肥満や生活習慣病のリスク増大や思考力低下、うつ病発生リスク増大、免疫力の低下などなど心身ともに影響があります。
以前のように外出のできない、こんな時期だからこそ運動は重要です。

 

しかし、いざ始めるとなると運動はなかなか大変なものです。
そこで今回はMETs(メッツ)のお話をさせていただこうと思います。
METsとは安静に座っている状態を1 METsとしたときの運動の強さの単位です。
この値を使うことで運動量やカロリーの計算ができたりするのですが、
下記の表のような生活動作からスポーツ、仕事時の運動の強さも示されています。

METs

生活動作(例)

3.0

普通歩行、電動自転車に乗る、階段下り、子供の世話(立位)

3.5

床掃除、風呂掃除、台所仕事、楽に自転車に乗る、軽い荷物運び

4.0

階段上り、入浴、通勤、洗濯物を干す、ラジオ体操

6.0

ジョギング

① METs・時 = METs × 運動時間(h)

② 消費カロリー(kcal) = METs × 時間 × 体重(kg)

 

仮に1日のうちに掃除30分、洗濯30分、食事の支度30分×3、スーパーへ買い物60分、入浴30分をこなした人がいたとします。
この人の運動量を上記の表と①の式を使い計算すると
掃除(3.5 METs×0.5時間)+洗濯(4.0METs×0.5時間)+食事の支度(3.5 METs×0.5時間×3回)+買い物(3METs×1時間)+入浴(4.0METs×0.5時間)=14METs・時
となります。

 

厚生省の示す健康維持のための基準では3 METs 以上の運動を1週間合計して23 METs・時+行うことが推奨されていますので、1日に14METs・時も動いているこの方は余裕があるといえるでしょう。

健康づくりのための身体活動基準 2013 (概要)
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002xple-att/2r9852000002xppb.pdf

このように、自分の生活スタイルに合わせて運動量を決めれば、そんなに大変ではないかもしれません。
この時期、テレワークに切り替わった方も多く、自宅での座り作業が多くなった、通勤による移動がなくなってしまった、という方はプラスで運動ができると良いですね。

 

また、②の式を使えば消費カロリーの計算もできますので、興味のある方は使ってみてください。
更に詳しいMETsの表が国立健康・栄養研究所から出ていますのでそちらも参考にしてみてください。

身体活動のメッツ(METs)表
https://www.nibiohn.go.jp/eiken/programs/2011mets.pdf

 

最後に、自宅でも簡単にできる運動をご紹介させていただきます。

座りながらできる体操おすすめ運動メニュー
出典:福岡市 よかトレ 座って行う足元気体操

https://ssl.city.fukuoka.lg.jp/yokatore/wp-content/themes/underscore/images/DL/ashigenki_2.pdf

運動不足を感じている方はこれから始めてみてはいかがでしょう。
ちなみに自重でのスクワットは5.0METsとのこと。
できそうなものから、できる範囲で行ってみてください。

 

 

 

 

 

 

免疫力を上げる食事

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、こんにちは。
栄養課より新型コロナウイルスに負けない身体作りのために、食事による免疫力アップについてご紹介します。

 

たんぱく質とビタミンA

 筋肉や、血液、皮膚、粘膜、免疫細胞など私たちの身体を構成するあらゆるものはたんぱく質からできています。
たんぱく質が不足すると皮膚や粘膜が弱くなり、免疫力が下がってしまいます。
またウイルスが真っ先に入る場所である鼻やのどの粘膜を強くするには、ビタミンA(β-カロテン)が必要になります。
ですから、毎食たんぱく質を多く含む食品とビタミンAが豊富な食品を取り入れてみましょう。

たんぱく質が豊富な食品 → 肉類・魚介類・卵・大豆製品・乳製品など

ビタミンAが豊富な食品 → 人参・ブロッコリー、ほうれん草・かぼちゃなどの緑黄色野菜
(脂溶性なので油と一緒に調理すると吸収しやすくなります) 

 

発酵食品と食物繊維

 腸は食物の栄養素を吸収しつつ、食物を通じて体内に侵入する外敵(ウイルス、細菌など)をブロックする全身の免疫システムの要です。
腸内で乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が腸内環境を整えることによって、免疫細胞の働きを高めていきます。
また、腸内環境を整える上で、食物繊維を一緒に摂ることが必要になってきます。
 発酵食品 → ヨーグルト・チーズ・納豆・甘酒・ぬか漬け・キムチなど
 食物繊維 → 野菜や果物、海藻類・オリゴ糖
腸内環境をよくする食事例
 バナナヨーグルト・・・バナナの水溶性食物繊維が乳酸菌やビフィズス菌のエサになり、善玉菌をパワーアップ!
 オクラ納豆  ・・・ 発酵食品に水溶性食物繊維を加えて。
 オリゴ糖 ・・・ビフィズス菌や乳酸菌と水溶性食物繊維を食べると、腸内環境の改善に役立ちます。

コロナはペンキ

森下記念病院 感染対策室です。
誰もが初めての体験である新型コロナウイルス。
見えないウイルスとどう向きあえばいいのか、ある内科医が提案した考え方が話題です。
それは、ウイルスをペンキに例えることです。
この内容は、ウイルスをペンキに例えることで、冷静な対応を呼びかけようと考えた内科医・眞鍋葉子さんがフェイスブックに投稿した原稿が始まりです。

NHKでも取り上げられましたので、紹介させていただきます。

 

家から一歩外へ出たら

家から一歩外へ出たら、そこはすべて「ペンキぬりたての世界」だと思ってください。
電車の座席に座ったら、「あぁ今背中とお尻にごっそり塗りたてペンキがついたな」と思ってください。
エレベーターのボタンを押したら、「あぁ今指先にペンキがついたな」と思ってください。
感染している人のせきやくしゃみ は、ペンキのスプレーだと思ってください。
その人から、プシュとスプレーされたところには、ペンキがついています。
くしゃみを手のひらにした人が、その手で触ったところも、ペンキがついています。

ドアノブ
エレベーターのボタン
ATMのタッチパネル

そこを触ったあなたの手に、ペンキがつきます。

 

でも、ペンキは消すことができます

でも、安心してください。このペンキは、数時間から数日、触らずに放置すると、自然に消えるペンキです。
触ってしまった場合でも、石けんやアルコールなどで、ペンキを消してしまえばいいのです。
慌てる必要はありません。慎重に行動さえすれば、感染のリスクは下げることができるのです。

 

目標は、鼻や口にペンキをつけない事

大事なことは、自分の手という危険物から、自分の肺への入り口である「鼻と口を守る」ことです。
 目標は、鼻や口にペンキをつけない事。
鼻や口を触らないためにはマスクをしましょう。せきやくしゃみをまき散らさないためにも有効です。
また、目から感染したと考えられるケースも報告されています。ペンキのついた手でうっかり目を触らないようにしましょう。

 

換気の悪い部屋は“ペンキのミスト”が

最も危険な場所は、換気の悪い密室。
そこは、ペンキのミスト噴霧器が設置された部屋だと思って下さい。
鼻や口を触らなければいい、というレベルではありません。
換気の悪い密室は、今、「最も危険な場所」と言っても過言ではありません。

 

食事の時も注意

さらに気をつけなければならないのが、マスクを外している、食事の時です。
自分の手にペンキがついていないかどうか確認しましょう。
食べる前に、手を洗いましたか?
せっかく手を洗っても、マスクを外す時に、マスクの外側を触ると、また手にペンキがつきます。
外す時は、ペンキのつきにくい、耳の後ろのゴムを持って外しましょう。

  • 周囲2メートルに人はいませんか。
  • 部屋の換気は、十分ですか。

そうでなければ、その食べ物には、ペンキがついている可能性があります。

 

帰宅したら 家で安心するために

さて、あなたは家に帰ってきました。
家の中にペンキを持ち込まないために、次のことを心がけましょう。
カバンと上着は、玄関に置いておきます。
風呂場に直行して、髪の毛や顔、手に付いたペンキを落としてしまいましょう。

スマホも忘れないで

さらに、気を付けなければならないのが「スマホ」です。
スマホも、アルコールなどで消毒するか、ファスナー付きの透明な袋に入れて使えば、安全です。
これで「家の中にペンキを持ち込んでいない」とリラックスすることができます。

 

情報を発信した眞鍋医師の思い

恐怖を取り除きたいという思いがあります。コロナに感染してしまった後の治療法は未知です。
しかし、コロナを予防するための方法は、実は未知でもなんでもない、何十年も前から実践されてきた既知の知識です。
「知識があれば、リスクを着実に下げることができる」ということを伝えたいと思いました。
単に感染のリスクを伝えるのではなく、身を守るにあたって何がゴールで、それを達成するにはどうすればいいのかを提示することで、恐怖を取り除いて、否認から前向きな行動へと移れる方が1人でも多くなればいいと思います。
感染者への差別や風評被害などの話題にも心を痛めています。差別を行う人の心の中には、意地悪な気持ちよりも前に、恐怖があると思います。
「こんなに怖いから、気をつけなさい!」ではなく、「気をつければリスクが下がるんだよ、怖くないよ、だからあきらめないで!」というメッセージを込めたつもりです。

 

ちまたにはたくさんの情報があふれていて、何を信じたらよいのかわからないことも多いと思います。
また、それぞれ発表されていることも複雑でよくわからないことも多いのが現状です。
最低限でも感染に対する正しい基本的な知識を持っていれば応用することができます。
正しい知識をもって未知のウイルスと戦っていきましょう。

 

引用:https://www3.nhk.or.jp/news/special/miraiswitch/article/article42/

医療機関の経営も大変な時期ですが

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、院長です。

 

新型コロナウイルス感染の拡大から緊急事態宣言が発令し、経済への影響は皆様の周知のとおりであり、
様々な業界の経営状況は悪化しています。
医療機関における経営状況も、マスクの値段高騰をはじめとする感染対策費用の増加、検査や手術数の減少、
外来受診者数の減少など、マイナスの要素が多く対応に追われている状況です。
当院においても少なからずこの影響を受けており、患者様に安全な医療を安定して提供し続けることができるよう、対応策を考えています。

 

このような状況下で夏の賞与に関しても、朝日新聞デジタルの記事
賞与が3分の1「泣きそう」 医療者、コロナで待遇悪化
https://news.yahoo.co.jp/articles/319e921e5e4e3de0cc77d1a214989b93383db2fc
のように捻出が難しくなっている医療機関が多くなっているようです。

 

昨年度、当院では私が院長職を引継ぐにあたり、新たな体制や方向性を打ち出しました。
そして、スタッフの頑張りのおかげで多くの変革により、道半ばではありますが、
よりよい医療を患者様に提供できる体制を整えてきました。
当院では、この昨年度のスタッフの努力を評価するべく、この夏の賞与支給率を前年度より増加させます。
当院の経営状況に関しても、前述したように新型コロナウイルスの影響を受けておりますが、
院長・理事長の報酬と賞与をカットすることで、スタッフの賞与支給率増加を実現できるように調整しています。

 

スタッフがいきいきと働くことが出来る環境を作ることが、当院の理念のひとつである“患者様へ温かい医療を提供する”ことに不可欠であると考え、この苦難な状況のなかでも引き続き頑張っていきたいと思います。

 

 

骨密度と骨質

森下記念病院スタッフブログをご覧の皆様。
こんにちは。放射線科です。

 

緊急事態宣言は解除されましたが、東京アラート発動中と未だ気を抜けない状況であり、
ステイホームが現在も呼びかけられております。
家で閉じこもっているというのは、本当にストレスが溜まりますよね。
私を含めた中高年のオヤジたちは家でゴロゴロしていると粗大ゴミ扱いされるので肩身の狭い思いをしています。

 

ところで、こんなに運動もせずにいたら筋肉減少、脂肪増加、骨も脆くなってくるのではと心配になります。
今回は、私たち放射線科が骨の強さを測定する仕事をしている関係上、
骨密度について少しばかりお話ししようかと思います。

 

以前は骨粗しょう症というのは、骨密度が低下して骨折しやすくなる病気とされていたので、
予防にあたっては「骨密度」を中心に考えられてきました。
しかし、骨密度が正常範囲であるにもかかわらず、骨折リスクが高い患者さんがいることがわかり、
その原因を調べると、人によって「骨質(こつしつ)」に違いがあることが明らかになってきました。
つまり骨の強さは「骨密度」だけじゃなく「骨質」も大切なんです。

 

骨粗しょう症の定義は
「骨強度が低下し、骨折しやすくなる骨の病気」
と改められ、「骨強度」には骨密度が70%、「骨質」が30%関係していると説明されるようになりました。
つまり骨粗しょう症は、骨密度の低下と骨質の劣化、その両方が影響しあって骨折リスクが高まる病気といえます。

 

「骨」といえばカルシウムを連想しがちですが、骨の体積の50%はコラーゲンなんです。
仮に骨を鉄筋コンクリートの建物とすると、カルシウムはコンクリートで、コラーゲンはコンクリート内に埋まっている鉄筋となります。
鉄筋(コラーゲン)の強さを左右するのは、鉄筋同士をつなぎとめるコラーゲン架橋で、これはいわば梁(はり)の役目をして、建物全体の強さにまで影響を及ぼしています。
さらに、このコラーゲン架橋には「善玉架橋」と「悪玉架橋」があり、悪玉架橋が増加すると、コラーゲン同士のつなぎ止めが弱くなり、しなやかさが失われ、硬くてももろい、折れやすい状態となってしまいます。

それに加えて骨を作る“骨芽細胞”と骨を壊す“破骨細胞”がお互いに協調し合って働くことにより
骨の構造がバランス良く綿密に作られています。
このバランスが崩れたりすると骨の構造が破綻し始めます。

悪玉架橋は加齢とともに増えるほか、糖尿病や慢性腎臓病などの生活習慣病によっても増えることが分かっています。
こうした生活習慣病の患者さんでは、骨密度検査で正常に近い結果が出ても骨折リスクが高いことがあります。

 

それから食事のバランスもあります。

ステイホームで外出できず、食事内容も単調になっていることと思います。
良質なタンパク質はカルシウムの吸収を助け、骨強度にいい影響を及ぼします。
ただし、たんぱく質のとりすぎにも問題があり、抱えてるご病気によっては制限もあるため、
できるだけご自身のお身体に即したバランスのいい食事が大切です。

 

そして運動も大切です。

スポーツクラブに行かなくとも、骨も筋肉もご自宅で鍛えることは十分可能です。
自分の体重を上手く活用したスクワットなどは十分な効果が期待できます。
(詳しくは今後のリハビリテーション部門の担当回でお伝えします)
ちなみに水泳や水中歩行などは浮力が働くため、筋肉を鍛えるためにはいいのですが、
骨を丈夫にする目的にはやや不向きです。
まずは「ラジオ体操第一」からやってみましょう。
本格的にやると結構キツいですよ。私は第二で挫けました。

 

丈夫な骨を維持するために、是非コツコツと手軽にできるトレーニングや、バランスの良い食事など意識して生活を送りたいものです。

 

 

睡眠とCKD(慢性腎臓病)の関係

 

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、院長です。

 

前回の私のブログで睡眠と感染症の関連についての記事を紹介しました。
そこで、今回は当院が注力している腎臓に関連した記事として、

CKD(慢性腎臓病)発症のリスクと睡眠の関係についての論文
Sleep and the Risk of Chronic Kidney Disease: A Cohort Study. J Clin Sleep Med. 2019 Mar 15;15(3):393-400. doi: 10.5664/jcsm.7660.

をご紹介します。

 

この研究はCKDの発症に対する睡眠の影響について、今までの研究が少なかったことを背景に、
大規模コホート研究として睡眠とCKDの発生率との関連を調査することを目的として行われました。

 

1996年から2014年の間に、20歳以上のCKDのない194,039人の台湾人を対象としています。
CKDは、eGFRが継続して60 mL/min/1.73 m2未満と定義されています。
睡眠時間と睡眠の質に関する情報はアンケートから取得され、
時間と質に関して併合した睡眠スコア(最低2~最高9点)も作成されています。
統計学的に睡眠時間、睡眠の質とCKDの発症について調査されました。

 

睡眠時間に関して、4時間未満、4〜6時間、または8時間以上睡眠した参加者は
睡眠時間が6〜8時間だった参加者と比較して、CKDを発症するリスクが高いという結果でした。
また、睡眠の質に関しては、中途覚醒、寝つきが悪い、または睡眠薬または鎮静剤を使用していた参加者は、
良質な睡眠が得られた参加者と比較してCKD発症のリスクが高い結果でした。
さらに、睡眠スコアが4未満、4〜6の参加者は、6より高い睡眠スコアの参加者と比較して、
CKDのリスクは高いという結果でした。

 

本研究では、BMI、高血圧、糖尿病、心血管疾患などCKDのリスクとなる他の交絡因子を排除しても
同様に睡眠の時間と質がCKD発症のリスクとなる結果を得られており、睡眠とCKDの関連が強固であることが示されました。
睡眠とCKD発症のリスクを結びつけるメカニズムは明らかではありませんが、睡眠障害が交感神経系の活性化をもたらすこと、睡眠障害による全身性炎症が糸球体内皮障害とタンパク尿を引き起こす可能性があることが示唆されているようです。

 

この研究からは、不十分な睡眠時間もしくは長すぎる睡眠時間、そして睡眠の質が悪いとCKD発症のリスクが高くなることがわかりました。
したがって、睡眠を改善してCKDを予防するための戦略を立てるときは、睡眠時間と睡眠の質を考慮する必要があるようです。

 

睡眠に関しては今回のCKDとの関連以外にも、前回の感染症や、高血圧や腫瘍など多くの病気との関連が報告されています。
私自身にも言えることですが、自粛生活を経て、良い睡眠のリズムを確立できたのであれば、今後も健康のために維持していきたいところです。

睡眠と感染症の関係

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、
こんにちは、院長です。

 

緊急事態宣言は先日解除されましたが、
外出自粛の生活をしているうちに私は
早寝して十分な睡眠時間を確保する
生活リズムになっています。

以前から「風邪をひかないように早く寝よう」
という習わしを聞いたことがあるように、
睡眠は感染予防に有効であると考えられ、
多くの方はそのような行動をとった
経験があるのではないでしょうか。

 

しかし、実際に
「睡眠と感染の関連について科学的に検討した報告」があるのをご存知ですか?

 

今回はそんな日常の行動に関わる、睡眠と感染症の関連についての2016年の研究
Association of Insufficient Sleep With Respiratory Infection Among Adults in the United States. JAMA Intern Med. 2016 Jun 1;176(6):850-2.
をご紹介します。

 

そもそも睡眠障害または習慣的な睡眠不足にある人の割合はアメリカで5000-7000万人いるのですが、
そうした睡眠不足がどれくらい病気のリスクに関わっているかについては未だよくわかっていない部分も多いのです。
基礎研究や実験の範囲では、睡眠不足が感染症に対する抵抗力となる重要な免疫系に悪影響を及ぼすことを示すデータはありますが、実際にヒトで追跡調査を行った研究というのは多くありませんでした。

 

そこで、この研究では、睡眠時間と風邪、インフルエンザや肺炎を含む感染症の発生確率との関連を調べています。

 

アメリカのNational Health and Nutrition Examination Surveys (NHANES)上で2005年から2012年に登録されていた米国人22,726人(平均年齢46.2歳)を対象としてデータを抽出し、分析しています。平日の典型的な睡眠時間、医師から睡眠障害と診断されたことがあるか、睡眠障害があることを医師に相談したことがあるか、過去30日間の風邪、インフルエンザや肺炎を含む感染症に罹患したかの有無について統計的手法を用いて関連性が検討されています。

 

結果としては、以下の通りです。まず、調査対象者の睡眠時間の割合は、1晩で5時間以下が13.6%、6時間前後が23.0%、7~8時間が56.3%、9時間以上が7.1%でした。睡眠障害の診断を受けたことがある人は7.1%で、医師に睡眠障害があると相談したことがある人は25.0%でした。

 

対象者において、睡眠時間が7-8時間の人と比較して、
5時間以下の人は過去30日間に風邪や感染症にかかった割合が高いことがわかりました。

一方、睡眠時間が6時間前後、9時間以上の人には、
風邪や感染症にかかりやすい関連性は見いだされなかったということです。

その他、睡眠障害と診断を受けたことがある人や、医師に睡眠障害を報告したことがある人も、
風邪や感染症を報告する可能性が高い傾向があることがわかりました

 

ここで気を付けたいのは、この研究は、既存のデータから抽出して行われたものであり、
適切な睡眠時間をとれば風邪が予防できる、という因果関係を言い切ることのできるデータではないということです。

 

言い換えれば、
「いつも5時間しか寝てないよ!」という人が
「風邪や感染症を予防するために今日から8時間寝よう!」
と思って実行した際に、必ずしもそれで予防できるわけではない、
ということです。

 

「5時間しか寝られない生活をしている人」は、きっとそれだけ仕事や日々の生活が忙しいでしょうし、
その分、外と他人と接触して活動しているかもしれません。
反対に、「毎日しっかり7-8時間寝られている人」というのは、比較的時間に余裕がある生活をできていることでしょう。

 

体感的にはやはり普通の人は睡眠不足になると仕事のパフォーマンスも落ちますし、
なんだか体調を崩しやすいような気がします。
そういう意味では、「なるべく風邪や感染症にかかりたくない」という方が
十分な睡眠時間をとるということは妥当な戦略であると思います。

 

新型コロナウイルス感染対策の一環にも十分な睡眠は提示されています。
十分な睡眠を確保して、体力を維持して健康な生活を送ることを心がけていきたいと思います。

感染と放射線といじめと

森下記念病院のスタッフブログをご覧の皆様、

こんにちは。

今回は放射線科からお届けいたします。

 

 

昨年末に中国武漢で発生した新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は、

瞬く間に世界中で流行してしまいました。

 

しかし、歴史を見ても人類は世界的な感染症を何度も経験しています。

 

例えば、13世紀には十字軍などの移動で広がったハンセン病は、

感染力は決して高くないものの、当時は感染経路が解からず遺伝病と誤解されたり、

感染者は人里離れた場所へ隔離されたり、療養所に入れられたりしました。

 

14世紀にはペストがモンゴル軍や交易によって広がり、感染が広がると、

ペストはユダヤ人が井戸に入れた毒薬が原因だとのデマが流れ、

南ドイツを中心にユダヤ人の迫害が起こりました。

 

コレラ、黄熱病、梅毒、結核など時代により、いろいろな感染症が発生しましたが、

感染症が広がると、人が持っている差別や偏見が浮かび上がります。

 

感染症は人の理性を奪います。

それは現在においても同様です。

 

最前線で奮闘している医療従事者を称える人々がいる反面、

その家族や本人を誹謗中傷する人々もいます。

人間とはなんなのでしょうか。

 

感染は、三つに分けられると思います。そしてそれは人々を蝕んでいきます。

  1.  人体への感染:発熱・倦怠感・痛み・呼吸苦
  2.  心への感染:不安・恐れ・恐怖・祈り
  3.  社会への感染:偏見・無知・差別・猜疑心・迫害・暴力・恐怖心の伝播

 

実は、コロナウィルスより人間の方が恐ろしい存在なのかも知れません。

 

 

東日本大震災の福島原発事故で被災し、疎開した子供たちが放射能や被曝という

心無い言葉で虐められたことは記憶から消えていません。

虐めた人たちは忘れても虐められた人たちは決して忘れません。

でも、危険と分かっていても、未来の日本のためには、

原発の処理だって誰かがやらなければなりません。

 

宇宙戦艦ヤマトの主題歌に

「誰かがこれをやらねばならぬ 期待のひとが俺たちならば」

(作曲:宮川 泰 作詞:阿久 悠)

という歌詞があります。

 

危険を顧みず原発処理の最前線に立つ人たち、

COVID-19に立ち向かい一人でも多くの人を助けようとしている医療従事者たち、

そして心配をしながらもそれを支え励ます友人や家族。

 

みんな頑張っています。

どうか皆さんも応援してください。